デイリーレポート(2022年3月29日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

日銀が金利上昇を抑えるため指値オペを実施するとともに、29日から31日までの連続指値オペ(無制限の債券買い入れで金利を上昇させない)を通知したことで円が大幅安となりました。

週明け寄り付きは122.07レベルでしたが、連続指値オペを通知したことで利上げサイクルに入っている米国との金融政策の方向性が180度異なることを見て投機的な円売りが急速に入り、125円にあったと思われるストップもつけ、欧州市場序盤には125.11レベルの高値をつけました。さすがにわずかの間に3円以上もの円安を見たこと、125円台に乗せた達成感からその後は急速に円買い戻しへと転じ123.15レベルまで押した後。123円台後半での引けとなりました。

いっぽうユーロドルは上下しながらも底堅い展開となりましたが、1日の値幅は50pip強に留まり、ロシアとウクライナによる停戦協議に向けて動きにくい様子です。またユーロ円はドル円とともに円安が進行したことで137.54レベルまで急騰後に136円近くまで押して引けています。

大規模緩和を継続する日銀としては10年最利回りがターゲットの0.25%を超えていることを見て連続指値オペによる金利低下を目指したのはわかりますが、当然日本だけ(いやトルコもか)方向性が異なる金融政策を見たら、円売りが集中することは目に見えています。今回は125円台前半で折り返しましたが、世界的なインフレが問題となる中で輸入物価の上昇が悪い円安として捉えられることは間違いありません。

2015年の時以上に実効為替レートは円安ですから、ここで強めの牽制をしないと次は125.86、そして130〜135円という水準が思いのほか短期に見えてくるでしょうし、長期的には140〜160円という水準も考えなくてはならなくなります。トルコリラを見ればわかりますが、弱い通貨は徹底的に叩かれます。いまや日本円が弱い通貨という認識が世界的に広がった一日となってしまったため、今後通貨当局である財務省としてはどうするのか、要チェックではあります。

本日は大きく動いた後ということで昨日のような動きにはならないでしょうが、下がったところではドル買いが出てくるという流れは今後も続くでしょう。以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  122.90〜123.90
 ユーロ  1.0970〜1.1020
 ユーロ円 135.25〜136.40

昨夜の動画コンテンツもご参照ください。
https://jp.tradingview.com/streams/EW7JpEkucA/



配信日:2022年3月29日