デイリーレポート(2022年3月16日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日も本文のみの更新となります。

ドル円は円安の流れを継続してのスタートとなり、東京朝方に財務相が為替の動きを注視しているとの発言にも動きを止めず、仲値過ぎには118.45レベルの高値をつけました。その後中国株式市場が下げる動きとともに徐々に上値が重くなり、欧州市場序盤には急速に水準を下げ117.70レベルの安値をつけました。海外市場に移ってからは改めて円売りの動きとなり引けにかけては改めて東京高値に近づく動きで引けています。

ユーロドルは東京市場から買いが目立っていましたが、動きとしては停戦協議よりも米債利回りが低下する動きに沿ったドル売りが対ユーロで出ていた印象です。欧州市場序盤にはドル円に若干遅れてドル売りが強まり、日中高値となる1.1020レベルの高値をつけましたが、上がったところではまだ売りも根強くNY後場には東京前場の水準へと押し、若干買い戻されての引けとなりました。

現在の円相場について昨日は財務相、先週は財務官と3月に入ってから既に当局関連による為替を注視するとの発言は3回目です。明らかに円安により更なる輸入物価の上昇など日本経済に与えるデメリットを警戒している発言です。まずは「注視する」との発言が出て、それでも動きが止まらないと次は「円安のペースが速い」そして具体的に「円は弱すぎる」と口先介入へと発言の度合いを変えてくることが今後予想されるでしょう。

トランプラリー時の118.66レベルを上抜けると一気に120円までの円安侵攻となる可能性が出てきますので、次のステップの発言が出てくるとするとその時ではないかと見ています。金曜の黒田日銀総裁の会見でも為替相場に対しての質問が出ることは間違いありませんが「為替のことは財務省」としながらも、これまでのスタンスを変え円安支持からの宗旨替えをしてきたら、政府との間で意思疎通があったと見るべきでしょう。

個人的には118円台半ばを超える円安はかなり警戒すべきであると思います。ユーロについては停戦合意も含めてウクライナ情勢次第の面があり、しばらくは方向感が出にくい状況が続きそうです。本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  117.70〜118.40
 ユーロ  1.0935〜1.0995
 ユーロ円 129.25〜129.95



配信日:2022年3月16日