デイリーレポート(2022年3月15日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は円安が進み117円台前半での引けとなりました。材料的には軍事的なリスクを背景とした米ドル買い、今週のFOMCでの利上げといったあたりが大きいのですが、きっかけは年初来高値116.35レベルを上抜けたことによるテクニカルな買いが出たことでしょう。その後は押しらしい押しも挟まずにほぼ寄り付き安値高値引けの一日で終わりました。

ユーロドルは欧州市場前場までは動意薄ではあったものの上値が重たい展開が続きましたが、プーチンがウクライナとの交渉で前身と発言したことから一時的に買われ1.1043レベルをつけたものの、その後特に何も出ずウクライナ側が前進を否定したことで反落。週末前の警戒感もありてこなかったことから引けにかけて1.0902レベルまで水準を切り下げて安値圏での引けとなりました。

ドル円は1月に付けた年初来高値を上抜けたことで、2016年12月のトランプラリーによるドル高値118.66レベルを視野に入れる展開となってきました。引き続き軍事懸念によるドル買いと以前からの日米金利差拡大によるドル買いとで今週もFOMCに向けて底堅い展開が予想されます。

ユーロドルは停戦協議に期待したいところですが、金曜のヘッドラインを見てもロシア側からのニュースは基本的に嘘報道という認識でいたほうがよさそうです。ウクライナ側から出てくるニュースも全てが真実というわけではありませんが、それでも信頼度ははるかに高いでしょう。引き続き事態の進展がない限りユーロは売られやすいでしょうし、今週にはロシアの最初の利払い停止といったニュースが入ってきそうですから、買われたら売りです。

本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  117.30〜118.10
 ユーロ  1.0860〜1.0940
 ユーロ円 128.00〜128.70本日は本文のみの更新となります。

ドル円は金曜に続いて円全面安の動きとなりました。16日のFOMCでは0.25%利上げのいっぽうで18日の日銀会合では現状維持となることがコンセンサスとなっていることから今後の日米金利差拡大を考えた買いがかなり入ってきている様子でした。米国10年最利回りも2.147%まで上昇し、2019年6月以来の水準となっていることからNY市場では118.22レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。

いっぽうユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってからロシアとウクライナの停戦協議に期待した買い戻しが見られましたが、話はまとまらず15日も継続協議となったことで引けにかけては買われる前の水準へと押す動きとなりました。またドル円だけでなくユーロ円でも買いが強まっていることもユーロドルを底堅くしていました。

ドル円は年初来安値を上抜けて以降は円安ペースが加速し、ついに118円台前半とトランプラリー時の高値118.66レベルまでわずかという距離に迫っています。材料的にはウクライナ懸念が続く限り軍事力を背景とした米ドル買いが続きやすい上に、日米金利差も円安要因に加わりましたし、テクニカルにも118.66をターゲットに引き続き円安を狙いたいところです。

しかし、今朝の財務相発言にもある通り為替の日本経済への影響を注視と過度な円安に対する警戒感は出ていて、トランプラリー高値を抜ける前にいったん反落しやすいのではないかと考えています。原油価格だけでなく多くの物の輸入物価上昇につながり、現時点では円安のデメリットの方が目立つ状態です。明日にはFOMCも控えていることから、そろそろ注意すべきタイミングでしょう。

ユーロドルは停戦合意がなされるかどうか、本日の協議待ちですからそれまでは方向感が出にくい流れは続きます。ドル円同様にユーロドルにおいても金利差拡大はユーロドルの売り材料となりますので、基本はユーロの戻り売りを考えることとなるでしょう。ただし、停戦合意がなされる場合には一時的に買い戻しが強まるため、その点には注しておきましょう。

ユーロ関連は停戦合意まで(現状維持の間)の前提で、本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  117.70〜118.40
 ユーロ  1.0925〜1.0995
 ユーロ円 129.10〜129.80



配信日:2022年3月15日