デイリーレポート(2022年3月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はFOMCを控えてNY朝方までは118円台前半の狭いレンジでの取引を続けていました。NY市場昼前にFOMCでの利上げとタカ派発言を期待したドル買いが再開し直近高値を上抜け、FOMCでは予想通り0.25%の利上げとなりましたが、金利見通しが年内合計で1.75%と市場参加者の見方に寄せてきたことから直後には119.12レベルまで上昇。引けにかけては利食いも出て118.70レベルでの引けとなりました。

ユーロドルは終日ロシア・ウクライナの停戦合意期待から底堅い動きが続きました。FOMC直後にはドル買いの動きで押す場面も見られましたが、引け間際には1.1047レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。

FOMCでは予想通り利上げとなったものの、一部メンバーが0.5%の利上げを主張、年内の利上げ見通しが1.75%と前回の0.75%から大幅に増えたこと、バランスシート縮小の議論を早ければ次回5月にも行うことが示され、これをタカ派的と捉えてドル買いの動きが一段と加速することとなりました。一時10年債利回りが2.46%、2022年12月限のFF先物は1.93%となり、市場参加者の見通しは今回FOMCよりもさらに上へと動き始めています。

また停戦合意は期待感がかなり先行していますが、ウクライナ側もロシアの一方的な要求を受け入れることに対しては否定的で、落とし所がどのあたりになるのか、果たして短期に合意がまとまるのかはいまだ不透明です。ウクライナ側は西側諸国から資金が入るいっぽうで、ロシアはデフォルトも近づき長期化すればするほど戦費を賄うことも困難になっていくと見られ、ロシアがどの程度折れるのかをウクライナ側もまだ見極めている段階です。

既に停戦を織り込んだ動きになっていることを考えると、実際に停戦となってもユーロ買いは思いのほか進まない可能性もあるでしょう。

またドル円はついにトランプラリー時の高値を上抜けたことで、次のターゲットはテクニカルにも大台120円となりますが、それよりも上となると2015年の125円台まで目立ったレジスタンスは無く、引き続き当局から為替の動きを注視するといった発言が出てくる可能性は高いと見られます。

口調が一段と強くなる可能性も考えると、短期的にはそろそろ中休みの段階に近いと見られ、本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  118.30〜118.95
 ユーロ  1.1000〜1.1065
 ユーロ円 130.60〜131.40



配信日:2022年3月17日