デイリーレポート(2022年3月2日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ウクライナ情勢を見ながらリスクオフの流れ自体は続いています。基本的な考え方は戦争リスクがあるため最大の軍事力を誇る米国の安全資産である米国債が買われ、為替市場では冷戦時代の有事のドル買いが継続しやすいという考え方には変わりはありません。

そうした中で昨日に関してはどちらかというと株式市場に沿った動きとなり、ドル円は日経平均株価に沿った動きを見せ東京前場に上昇後はじり安の展開となりましたが、欧州市場以降は様子見でほとんど動かずとなりました。

ユーロドルは東京前場は売りが先行したものの欧州市場序盤にかけては買い戻しが目立ちました。しかしロシアからウクライナへの攻撃は継続するとの発表があり、欧州株は全面安。それに引っ張られてユーロは対ドル、対円ともに売りが強まり先週安値を更新後引けにかけては若干戻す動きでした。

SWIFTからのロシア締め出し以降も西側諸国が協調してロシアからのビジネス撤退を表明しています。決済ができないだけでなく、資源を中心とした収入も激減することが予想されます。さらにロシアを経済的に締め上げる動きは続くでしょうから、それほど時間がかからずロシアはデフォルトに追い込まれるでしょう。

問題は追い込まれたロシア国民が民衆革命的にプーチン大統領を失脚させる動きにつながるのか、あるいは追い込まれたプーチン大統領がウクライナだけでなくNATO軍との戦争を決断するのか、ここまでのプーチン大統領の発言や行動を見ている限り、戦争に発展する可能性も否定できず、そうであるとすると冒頭に書いた冷戦時代のリスクオフ相場が強まる可能性があります。

金融市場はエネルギーを中心とした価格急騰によるインフレ懸念も一段と強まり、景気減速下のインフレという難しい局面に向かっていくため、全体的には株安、米債高、ドル高(有事のドル買い+米短期金利上昇)、資源高、そしてロシアの代替決済手段としてのビットコイン高という流れの中で、細かな上下が入ってくるというイメージです。



配信日:2022年3月2日