デイリーレポート(2022年3月1日配信)
本日は本文のみとなります。(今はあまりチャートに頼りすぎない方がよいです)
週末にSWIFTからロシアを中銀も含めて締め出すとのニュースが出たことで週明けはかなりの警戒感をもって始まりましたが、ロシアだけでなく欧州を中心に西側諸国が受ける損失、景気減速懸念から株安とユーロ安でのスタートを切りました。
その後は様子を見たいという参加者が多かったこと、ロシアとウクライナとの停戦協議が実施されることなど朝方の下げに対して上下しながらも終日買い戻しが続く展開となりました。株式市場はほぼ前週末の水準へと戻したもののユーロは大きくギャップダウンして始まったこともあり、1.12台半ばでは戻り売りを考える向きも多かったようです。
やや異なった動きを見せていたのがドル円でNY市場まではほとんど動かず、NY市場ではドル売りで反応していました。米金利の低下と考えることも可能ですが、これは安全資産としての米国債買いですから、ウクライナ情勢はロシアが軍事行動に出たことでリスクオフは有事のドル買いとして作用していることを考えると、株やユーロドルの動き同様に有事のドル買いに対してやや緊張が緩和したことによるドル売りという見方が妥当に思えます。
問題は本当に停戦合意が可能なのかという点ですが、ロシアはウクライナの軍備解除と中立化、ウクライナはウクライナからのロシア撤退と双方が受け入れにくい提案をしている状況で短期的にまとまる話ではありません。その間もロシアは攻撃を継続し、条約で使用禁止となっている気化爆弾(真空にして殺傷する)を使用しているとも言われています。
西側諸国の経済制裁はSWIFTからの締め出しに留まらず、一般企業もロシアへの投資引き上げ、合弁ビジネスの解消など多大な損失を覚悟の上でロシアを世界経済から隔離する動きを強めています。次に起こることを考えると既に暴挙に躍り出たプーチン大統領が追い詰められ引くに引けず、戦争覚悟で更なる武力行使ということも考えられます。
核を使用する可能性も否定できないところに怖さがありますが、少なくとも短期的な解決が望めず、長期的にロシアが追い詰められた際のことを考えるとしばらくはリスクオフバイアスのスタンス、為替市場では圧倒的な軍事力を背景に有事のドル買いが今後も継続しやすいという見方がよいかと思います。
引き続き不透明なウクライナ情勢が続いていますので、当面は予想レンジは書かないで行きます。