デイリーレポート(2022年2月25日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日本文のみの更新となります。

ロシアが東部2州のみ侵攻という当初の説明に反し、ウクライナ全土を攻撃するという暴挙に出たことで昨日の金融市場は大荒れとなりました。これまで武力で他国に侵攻という出来事は誰も想定していませんでしたが、2月に入ってから米国が逐一公開してきた機密情報通りの最悪の事態になりました。

NY市場まで株式市場は急落、リスクオフに反応して為替市場は3主要通貨ペアともに下げるという流れで、周辺市場では資源国ロシアからの輸入がストップするという懸念でNY原油が100ドルの大台乗せと想定される動きを見せていました。

しかし欧米を中心とした追加制裁が思ったほどの内容とならなかったことから株式市場は反発し、ほぼ前日終値水準まで行って来い。為替市場は地政学リスクからユーロドルはNY前場までは下げ続け1.1106レベルの安値をつけましたが、引けにかけては株価の買い戻しとともに1.12近くに戻しています。

ドル円はやや複雑で欧州市場序盤までは株安によるリスクオフで114.41
レベルまで下げていましたが、ユーロドルの下げによるドル買いの影響が強まり底固めをした後は115.70レベルまで上伸後やや押して引けました。このドル円の動きはユーロドルの影響が強いとともに、実際に戦争状態になってきたことで以前の有事のドル買いといった側面もあったかと思います。

問題はここからですが、追加制裁が大したことが無いため、このままではロシアも手を引くことはないでしょう。つまりウクライナは実質的にロシアの一部にされてしまうリスクが相当に高いと言えます。

もし欧米がウクライナを見捨てるということになると、今後の中国と台湾の問題などより問題が大きくなるため、多少の経済的な犠牲(景気後退)に目を瞑ってもより強力な経済制裁の包囲網を実施すべきだと思うのですが、本日以降の米国とEUの発表を見守ることとなりそうです。

発表が無いとなんとも言えないものの、強力な追加制裁発動があるとすると、再びリスクオフで株安、主要3通貨ペアは下げ、原油価格は需給逼迫によりまた金価格は避難資産としてそれぞれ上昇という動きになりやすいという見方は変わりません。

また昨日のように引き続き荒れる可能性が高いため、あまりテクニカルに頼りすぎることも目先はおすすめできませんし、予想レンジも書かないでおきます。過去に無いことが起きているという点で週末超えのポジションには要注意です。



配信日:2022年2月25日