デイリーレポート(2022年2月14日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

金曜は東京市場が休場となりましたので木曜と金曜の為替市場を振り返ります。

木曜のドル円はNY市場まで強いCPIが出るのではないかとの思惑がドル高地合いを継続させました。米国CPIは予想を上回る7.5%となり、米長短金利が上昇しドル円も116.34レベルまで上昇しましたが、株式市場が売りで反応したこともありすぐに下押し。引けにかけてはあらためてじり高の動きとなりました。

ユーロドルはユーロ円の買いもありNY市場までは底堅い展開、NY市場ではCPIの発表を受けドル買いからユーロ売りとなったものの、ドル円の買いとともにユーロ円も買われた動きに引っ張られてユーロドルは1.1495レベルの高値をつけましたが、1.15の大台を試せなかったことで急速にCPI発表前の水準へと押して引けました。

東京市場が休場となった金曜は東京昼頃まではじり高となったものの116.17レベルまでで上値が重くなりその後はNY前場までじり安の展開が続きました。NY市場前場に日本の外務省がウクライナからの退避を勧告、また複数の地区連銀総裁が急速な引き締めには慎重な姿勢を示したこともドルの上値を抑えました。その後、その後米国もウクライナからの退避勧告をおこなったことでNY後場の株式が急落、ドル円も115円の大台目前に水準を下げやや戻して引けました。

ユーロドルはNY後場の下げを受けて売りが先行してスタートしまし、東京午後には1.1368レベルと前日安値をやや下回りました。その後NY市場までは買い戻しが入っていましたが、後場の株価急落でドル円同様にユーロ円も大幅安となったことから1.1330レベルまで水準を下げ、安値圏でのひけとなりました。

金曜の米国CPIが強かったことから米国10年債利回りは2%超えと2019年8月以来の水準へと上昇、またタカ派地区連銀総裁の発言からFF先物は3月に0.5%の利上げを織り込み、2022年中に7回相当の1.75%の利上げを織り込む動きにまで金利市場が激変しました。

こうなると株式市場にとっては悪材料としかなりませんし、加えてウクライナ情勢が一段と緊迫してきたこともあって、米株市場は金曜後場に続落、2日間で1200ドルを超える下げ幅を記録しました。

現在は米金利の動向が株式市場に与える影響と、ウクライナ情勢が2大材料となってきましたが、急速な利上げによるオーバーキル(過剰な引き締めによる景気後退)も懸念され始めてきたことで、当面の金利市場は様子見状態、ウクライナの状況次第で株式市場は一段安の懸念が出てきました。

連休前に発表された日銀の指値オペも現状では発表時点より金利が下がっていることから応札する市場参加者はゼロと見られ、ある意味アナウンス効果はあったという感じです。為替市場への影響は、今後日銀が変動幅を変えてくる可能性も否定できませんので、改めて上限の0.25%に今後上がってくる動きが見られなければ無いと考えてよさそうです。

本日はウクライナ情勢が悪化しないという前提で以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  115.10〜115.65
 ユーロ  1.1320〜1.1385
 ユーロ円 130.40〜131.20



配信日:2022年2月14日