デイリーレポート(2022年2月4日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場ではイベントを前に前日売った向きのポジション調整と思われる買い戻しが見られました。その後も底堅い流れが続きNY市場ではユーロ円の大幅上昇も手伝って114.99レベルまで買われての高値引けとなりました。

ユーロもECB理事会を控えて若干売りが先行していたものの様子見が続きました。ECB理事会では現状維持でサプライズも無かったことから1.1267レベルと若干売られましたが、ラガルド総裁会見において全ての理事がインフレの上振れに懸念を示したこと、条件が整えば年内の利上げもありうることに言及したことからユーロは全ての通貨に対して急騰、ユーロドルは1.1451レベル、ユーロ円も131.54レベルまで上伸し高値圏での引けとなりました。

ドル円は先週末に高値を試して上がりきらず、今週は安値も試して下げ切れずと方向感がはっきりしない展開が続いています。本日も米国雇用統計を控えて動きにくい一日となりそうですが、非農業部門雇用者数が減少となる可能性もありますし、ユーロドルの上昇が続くとドルの上値を抑えることとなりますので115円台での戻り売りを考える参加者が多そうです。

ユーロドルは理事会の結果はやはり変化はなかったかと油断していたところにラガルドECB総裁が会見で利上げの可能性に言及するなど、想定を超えるタカ派発言をしたことでユーロ買いが殺到しました。最近の中銀の動向はFRBの時もそうでしたが市場参加者のタカ派思惑に中銀が寄せてくるという傾向が強いように思えます。

これは市場との対話を重視することで引き締めに対する心理的な悪影響を少しでも排除したいという結果だと思います。英中銀も予想通り0.25%利上げしましたが、一部の委員は0.5%の利上げを主張し、欧州では最近のインフレ率に対してかなり懸念を示していることがわかります。

日本だけは蚊帳の外といった状態ですが、実際に物価は上昇していますし円安の影響で輸入物価の上昇は今後ますます顕著になってくるでしょうから、期末前には無いとしても4月以降には日本でも緩和縮小の動きを検討する流れとなってきそうな気もします。

本日も雇用統計発表を控えていますので予想レンジは示さないでおきます。



配信日:2022年2月4日