デイリーレポート(2021年12月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

昨日は中銀会合ラッシュの一日でしたが時系列ではトルコ中銀が予想通り1%の利下げ、英中銀は想定外の利上げ、ECBはPEPPは3月末で終了し、APPを第二四半期から増額という一時的な緩和拡大で予想通りとなりました。

ドル円はNY市場前場まで蚊帳の外状態で114.10レベルをもみあいの中心として徐々にレンジを狭める動きとなっていましたが、米国が中国の研究施設に対して制裁を科すとのニュースをきっかけに、それまで上昇していた株式市場が下落に転じ、それとともにリスクオフの円買いから113.56レベルまで下押しし安値圏でもみあいの引けとなりました。

ユーロドルは利上げを決定した英中銀の動きからポンド買いがユーロ買いにも波及、ECB理事会の結果(PEPPとAPP)は予想通りだったものの来年のインフレ見通しが上がったことから一時的ユーロドルは1.1361レベルの高値をつけました。しかし利上げはまだ先という見通しや米国の対中制裁のニュースからユーロ円を中心に売りが広がったことでユーロドルも反落し、1.13割れまで押した後にやや戻して引けました。

ポンドについて軽く触れておくと8対1で利上げが決まったというのは想定外でした。オミクロン株感染拡大下で現状維持と思われましたが、高止まりするインフレ懸念のほうが勝っていたようで、0.1%から0.25%へと利上げを行いポンドは1.32台半ばから1.3374レベルまで大きく買われましたが、ポンド円の下げからユーロドル同様に押す動きも強いものでした。

本日の日銀会合はさすがに現状維持だと思われますが、総裁会見でインフレについてどのような見方を示すのかは気になるところですし、きっかけが米国の対中制裁ニュースではあったものの、梯子を外されたような動きとなったことから、週末を前のドル円は戻り売りが出やすくなってきそうです。

欧州通貨は悩ましいところですがイベント経過ということで今日のところはあまり動きたく無いというのが市場参加者の本音でしょうが、ドルとしての動き、クロス円での動きが週末前にどのようになるのか、また米国の制裁ニュースは対中だけでなく、対ロについても欧州に協調を求めるなど、全体にリスクオフの材料が出やすい地合いになってきているという点には注意が必要です。

もう1日レンジは示さないでおきますが、3種用通貨ペアともに戻り売りが出やすい週末相場となりそうです。



配信日:2021年12月17日