デイリーレポート(2021年9月24日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

水曜から東京が祝日となった昨日までの2日間は金融イベントが多く、中国のエバーグランデ問題はやや懸念が引いた状況となりました。今日はトピックごとに簡単にこの2日間を振り返ります。

  • 22日FOMC
  • OMCでは現状維持、テーパリングについては11月会合で決定する可能性に言及、市場参加者の思惑と一致することとなりました。市場参加者の予想自体がパウエルFRB議長にうまく誘導されてきた感もあります。
  • た金利見通し(ドットプロット)では、2022年末までに利上げを考える参加者が9人に増えたことで、現状維持9人と完全に二分しました。間を取れば0.25%が中間値となり前回6月の現状維持(0.125%)からわずかに上がったと見ることができます。
  • らに2023年末となると、前回の中間値は0.625%(2回の利上げ)でしたが、今回は1.0%へと上がり3回以上の利上げを見込んでいるということとなりました。為替市場はこの発表をきっかけにドル高地合いとなりました。
  • 23日英中銀MPC
  • ちらも現状維持でしたが、テーパリングを支持するメンバーは前回から一人増え英中銀も11月会合でテーパリング、利上げ思惑も出てポンドは上昇することとなりました。
  • 23日トルコ中銀会合
  • 銀総裁がインフレ指標としてCPI(上昇)からコアCPI(低下)を参考にするとの発言が今回の会合での利下げ思惑となっていたものの、コンセンサスはさすがに現状維持でした。しかし18%へと1%の利下げを行なったことでトルコリラが急落しています。
  • エバーグランデ問題
  • 民元建社債の利払いは行うと言ったものの23日のドル建て社債の利払いは結局のところ行われていないようです。30日の猶予期限があるとも言われていることから、今のところ市場の反応は見られませんが、中国政府が地方政府にエバーグランデの破綻に備えるよう求めているとのニュースも出たことで依然として暗雲が立ち込めている状況に変化は無いと言えるでしょう。

およそ上記の通りですが、やはり重要度からすると米国の今後の金融政策とエバーグランデ問題です。

米国の金融政策は11月FOMCでテーパリング決定、12月から開始して2022年後半までに終了させるという流れがFパウエル議長の発言から読み取れますが、金利見通しにおける利上げ予想が前倒しになってきていることから、2022年後半の利上げを見込む展開となってきました。米国2年債利回りは22日から上昇し、10年債利回りは23日から上昇しています。また米国株式市場は債権利回り上昇にも関わらず、エバーグランデ問題をいったん他所に置いて先週高値圏の水準へと戻しています。

米金利上昇と株式市場リスクオンとなればドル円は当然のように上昇し、昨日は110.35レベルまで高値を切り上げました。いっぽうユーロドルはFOMC後にはドル買いユーロ売りとなりましたが、昨日はポンド買いにも引っ張られてFOMC前の水準に戻しています。ユーロ円は129.54レベルへと上昇してきました。

米金利については自然な反応ですが、エバーグランデ問題については当初よりも影響は少ないという判断となっているものの、実際に破綻となった場合の影響は大きく、改めて株式市場が下げる流れとなる恐れがあり、週末前の無闇なリスクオンには警戒せざるを得ません。来週になって振り返ると為替市場はやはりレンジ内での逆張りでよかったという流れになるような気がしてなりません。



配信日:2021年9月24日