デイリーレポート(2021年9月22日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日、本文のみの更新となります。

東京市場ではダウ先物が前日の安値からの反発を続けたこともあって日経平均株価も買いが先行、ドル円もリスクオフの巻き返しで欧州市場序盤には109.71レベルの高値をつけました。しかし、エバーグランデの懸念は去ったわけでは無く、実際に銀行への支払いが行われなかったことが確認されると、改めてデフォルトが懸念されダウ先は再び下げに転じました。ドル円もダウ先の動きとともに下げNY昼前には109.18レベルの安値をつけ上値が重たいままで引けました。

ユーロドルは蚊帳の外状態で1.17台前半で34pipsのレンジで終日もみあいを続けました。いっぽうユーロ円はドル円の動きに追随し128.70レベルまで上昇後に128.00レベルまで下げています。

本日もエバーグランデのデフォルト懸念とそれが中国経済や世界経済に与える影響を考えてという動きになりそうですが、一時期は負債総額が33兆円という金額ばかりが先行しリーマンブラザーズの約半分という面が強調されてきましたが、実際に返済や利払いが集中する今週に入ってからも株式市場は動いているとは言っても想定内の値動きにとどまっています。

このあたりは、企業が破綻しても金融システムや経済に与える影響は中国政府も最小限に抑えてくるはずだという楽観的な見方と、既にここに至るまでにエバーグランデの破綻を織り込みつつあるという点が大きいようです。中国では今年1〜3月期にもハイハンが破綻しましたが、同社を筆頭に過剰な債務を持つ6社が政府主導で処理され、6社合計の負債総額が今回のエバーグランデとほぼ同規模でした。

それでも無事に乗り切ってきている(実際にはそこから波及して苦境に陥った企業はあるものの表向きは問題ないという認識)ことから、今回もなんとかなるというところのようです。ただ、金融市場というのは時に過剰な反応をしがちですし、まだまだ安心と言える状況でないことは確かです。

たった今(10時過ぎに)エバーグランデの明日に予定されている中国国内分(オンシュア)の社債利払いが行われる方針とのヘッドラインが入ってきました。中国国内経済は守り、海外部門(オフシュア)を破綻方向で海外投資家は損をしなさいという流れで進んでいきそうです。事実であるとするならば、ここからの大混乱は無いと見てよいでしょう。

本日はFOMCがありますが、テーパリングはおそらく次回11月の決定でしょう。直近の雇用統計やコアCPIの数字から急いで金融政策を変更することはなさそうでし、エバーグランデの懸念もあることから今日は議論のみで決定せずという可能性が高そうです。それよりは金利見通しで2022年利上げの中心値が出てくるかどうか、2023年の上げ幅が大きくなるかどうか、そのあたりに注目が集まるでしょう。

なお、本日もリスクオフの巻き返しとやはりリスクオフといった昨日のような動きになりやすいと見ていますが、明日は東京は祝日になりますし、予想レンジは書かないでおきます。



配信日:2021年9月22日