デイリーレポート(2021年8月30日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

金曜東京前場のドル円は日経平均株価の下げから円買いが先行しましたが、欧州市場序盤以降はイベント前の買い戻しに加え、複数の地区連銀総裁によるテーパリングを支持する発言を受け一時110.27レベルの高値を見てのパウエル議長講演待ちとなりました。

議長講演では年内のテーパリング開始を適当としながらもテーパリングは利上げのシグナルとはならないとし、従来の議長のハトはスタンスを踏襲する内容となり、唯一の変化は年内のテーパリング開始というものに留まりました。

講演前にタカ派発言が続かなければ状況は違っていたと思えますが、事前に市場参加者がタカ派に傾いていたところにこれまで同様の発言が繰り返されたことで、米金利低下、株式市場は株価上昇、為替市場はドル安と低金利継続思惑による素直な反応を示したと言えます。

個人的な見解としてはジャクソンホールの講演ではあえて金融政策に触れないか、触れても従来のスタンスを変えないと見ていましたので、特に驚きはなく、逆に年内のテーパリングを示したことで9月FOMCへと着実にテーパリングの流れをタカ派にもハト派にも傾かずにつないでいく流れは作れたと思います。

ただ、9月の経済指標を見て9月FOMCでテーパリングを決定するのではなく、そこからさらに地ならしをして11月3日のFOMCでテーパリング開始を決定し、地ならし次第で即時の開始となるか12月から開始となるかの流れを作っていくというところではないかと思います。

やはりブレるのは市場参加者で一貫した姿勢を貫くのがFRB議長というこれまでのスタンスが繰り返されましたが、9月22日FOMCでは早期開始を主張するメンバーを抑えられるかどうかというあたりに焦点は移っていくと考えられます。そのためにも今週末の雇用統計と14日のCPIは注目度が高まるでしょう。

ユーロドルはドル円とドルとして同様の動きをしましたし、ユーロ円は欧州市場でのドル円上昇がやや速かったことから水準を上げてはいますが前日高値を越えられずにいますので、一段の上昇は考えにくいところです。本日は若干ドルが売られやすい展開を考え、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  109.50〜109.90
 ユーロ  1.1785〜1.1825
 ユーロ円 129.35〜129.75



配信日:2021年8月30日