デイリーレポート(2021年8月5日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場から欧州市場前場までは若干底堅い程度で目立った動きはありませんでしたが、NY市場朝方に発表されたADP全国雇用者数が予想(+69.5万人)を大きく下回る+33万人に止まったことで米金利低下、ドル安の動きとなり、一時108.72レベルの安値をつけました。

しかし、その後のISM非製造業景況指数は予想よりも強く、さらにくらりだFRB副議長が利上げ条件は2022年末までに整うと発言したことから、米金利もドル円も反騰することとなりました。ドル円はNY昼前には109.68レベルまで上昇し、若干押してひけました。

ユーロドルも基本的にドル円と同じ値動きでしたが、欧州市場序盤にドイツ国債の利回りが一段と低下したことから売られるという動きがドル円よりもワンステップ多くなりましたが、NY市場ではドルの動きに沿って、ユーロは買い戻しの後の旧反落という動きとなり、1.1833レベルまで水準を下げて安値引けとなりました。

欧州市場序盤のユーロの動きも急でしたが、NY市場におけるADPとISMの反応は荒っぽい動きとしか言いようがなく、米国雇用統計を前に一勝負終わったような印象です。またクラリダFRB副議長の発言はタカ派に取られたようですが、6月FOMCにおけるドットプロットの2023年利上げ予想とは合致します。

ただパウエルFRB議長は6月FOMCの会見で「ドットチャートは将来の利上げの有無を予測するためのツールとしてふさわしくなく、議論の中心はテーパリングであり、今は経済状況のデータをより多く見る段階にある」とした上で「テーパリングの発表前に市場に伝える」と発言しました。その後も同じ内容を繰り返し発言していますので、パウエル議長から明確なメッセージが伝えられるまで焦ることはありません。

しかも米国雇用統計を明日に控えていることからNY終値よりもドル高水準では本日はドル売りが出やすいと見ています。昨夜が思いのほか振れたので注意は必要ですが、以下のレンジを見ておくこととします。
 ドル円  109.30〜109.80
 ユーロ  1.1820〜1.1870
 ユーロ円 129.40〜129.90



配信日:2021年8月5日