デイリーレポート(2019年8月22日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は連日の調整相場が続いています。株式市場では米国株も日本株も先物を含めて終日上昇相場となり、その動きを受けて前日の売りに対する買い戻しという流れですが、FOMC議事録や週後半のイベントを前に積極的な取引は手控えられていました。議事録では7月FOMCでの声明と会見から外れるものはなく、反応も一時的なものに留まりました。いっぽうユーロドルは、ブレグジットに関してジョンソン英首相とメルケル独首相との会談が注目材料でした。前日のメルケル首相の発言も昨日の会談後のジョンソン首相の発言もバックストップ条項に何らかの見直しが入る可能性を感じさせるものの、EU側の公式見解はいまだ変わらずで、しばらくは経過を見ていく必要があります。終日ほとんどもみあいとなっていましたが、引けにかけはドル買いの動きから売りが出ています。

ドル円はFOMC議事録発表は全くの想定内、次の材料としては閣僚級日米通商協議と明日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演です。前者はまだ協議の途中でサプライズがあるとは思えませんが、議長講演は前回FOMC後の世界的な緩和の流れ、トランプ大統領による議長非難と、ハト派発言を催促するような環境であり、昨夜の議事録からの変化が見られるかどうかが注目となります。それまでは、ドル円がレンジを抜けてくるとは考えにくく、日替わりで今日は売りが出やすいと見ています。106.70レベルをレジスタンスに106.25レベルをサポートとします。

ユーロドルはブレグジットのバックストップ問題に動きが出てくるかどうかが8月下旬から9月にかけてのテーマとなりますが、EUも英国も合意無き離脱を既に想定した上で英国側にどの程度譲歩できるのか、英国側のいう条項そのものをなくすということは受け入れられないでしょう。また、イタリアのコンテ首相辞任でユーロを買った向きは早期解散は無くなったという判断のようですが、連立組閣時点と立場が完全に逆転し、圧倒的に支持率が高い同盟側としては、総選挙に持込めば勝てる訳ですから、そう安心できる材料でもありません。どちらも、結果が見えるには時間がかかるのですが、イタリアに関しては同盟が与党となれば歳出拡大から財政規律問題が出てくることも明らかで、いずれにしても最後はユーロ売りになりそうです。本日はユーロドルが1.1060〜1.1105、ユーロ円は117.80〜118.30とします。

レポート全文はこちら http://www.ascendant.jp/gain/daily/Daily.pdf

週足チャートはこちら http://www.ascendant.jp/Weekly.pdf



配信日:2019年8月22日