デイリーレポート(2021年7月15日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京朝方に仕掛けっぽいドル買いが入り110.70レベルの高値をつけましたがすぐに押し、その後はNY市場に入るまで110円台半ばの狭いレンジで膠着状態を続けました。NY市場に入り公表されたパウエルFRB議長の議会証言原稿において「今後の会合で議論を継続」とハト派な内容から米金利が低下、ドル円も急速に値を下げる展開となりました。引けにかけては109.93レベルまで水準を下げ安値引けとなりました。

ユーロドルはNY市場まで前日の米国CPI後のポジション調整からじり高の展開が続きましたが、パウエルFRB議長の原稿公表で一段高、1.1839レベルまで上昇し高値引けとなりました。

昨日は前日の米国CPIが強かったことから、パウエル議長の議会証言に早期テーパリング開始のヒントを見つけたいと考えた参加者もいましたが、パウエルFRB議長は早期テーパリング思惑を打ち消すには十分な慎重なハト派スタンスを示しました。原文を見ると今後の会合は”coming meetings”と複数であり、7月と9月も含まれることとなりますし、”advance notice before announcing”と購入を変更する前に知らせるというこれまでの言い方を繰り返しました。

つまり、少なくとも9月FMOCまではテーパリングの議論をしても開始することは無いということになります。米金利もドル円も前日のCPIで動いた値幅を全て失いましたし、当面は金利は上がりにくく、またドルも上値が重たい展開になると見て良いでしょう。個人的には思った以上に慎重な言葉を選んでいると感じましたが、さすがハト派の代表という印象です。

本日も基本的にドルの上値が重たい展開を考え、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  109.60〜110.00
 ユーロ  1.1810〜1.1850
 ユーロ円 129.70〜130.20



配信日:2021年7月15日