デイリーレポート(2021年7月9日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京の非常事態宣言を嫌気した株安と円高の動きが先行しましたが、本格的なリスクオフの動きとなったのは株式市場が引けてからでした。ダウ先が大きく下げ始めると日経先物も追随、ドル円は既に前日安値を下回りストップオーダーも巻き込みながら110円の大台割れとなりました。海外市場でもNY前場までは株安の動きが続き、ドル円は109.53レベルの安値をつけ、やや戻しての引けとなりました。

ユーロドルも東京後場までは動きが見られませんでしたが、欧州市場に入ってからはドル円同様にドル売りの動きがユーロ買いとなりました。ECBによる政策点検結果はインフレ目標を2%未満から2%とし、早期テーパリング思惑を後退させる目的は果たせましたが、フォワードガイダンスについては合意できず、次回理事会での再検討となりました。基本的に想定内の結果となりユーロとしての動きは見られず、ドル安の動きが材料のままで終わりました。

ドル円は思った以上の円高となりましたが、日経平均だけでなく世界の主要な株価指数も下げたことで、リスクオフの動きによる円買いとなりましたが、先週の安値圏を明確に下抜けたことからストップもそれなりに出ていた様子です。テクニカルにも4月下旬からの上昇チャンネルを下抜けたことで、ドル円はこれまでの押し目買いから戻り売りの回転へと転じた可能性が出てきました。

またユーロドルはインフレ目標が2%未満(近い水準)という曖昧な表現から2%となった点は想定内で好ましいとは思うものの、それ以外の部分では合意に至らず、次回理事会の注目度がやや上がったという印象です。ただし、ユーロ圏におけるインフレは各国CPIを加重平均し名称もHICPと、そもそもわかりにくい数値ですし、インフレに対する懸念も参加国によってかなりの温度差がありますので、気にするほどの変更でも無いという押さえでよいと思います。

本日は週末前でやや動きにくくなりそうですが、昨日の流れを受けてドルの戻り売りが出やすい展開となると見ています。本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  109.55〜110.05
 ユーロ  1.1825〜1.1870
 ユーロ円 129.80〜130.30



配信日:2021年7月9日