デイリーレポート(2021年6月17日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

FOMCを前にして為替市場は小動き、若干ドル円、ユーロドルともに上値が重たい動きを続けたことからユーロ円は133円台半ばから前半へと水準を下げてFOMC待ちとなりました。

結果は現状維持ではあったものの、将来の金利を予測するドットチャートの分布において2023年までの利上げを予測する参加者が前回から倍増の13人となり、2022年まででも倍増の7人と、市場の予想よりもかなりタカ派な内容となりました。この結果を受け米金利は直前の1.48%台から1.59%台へと上昇、為替市場もドルが大幅高となりドル円は110.72レベル、ユーロドルは1.1992レベルのドル高値をつけそれぞれドル高値圏での引けとなりました。

市場の予想以上にタカ派だった故のドル上昇と見て良いのですが、個人的には市場参加者の平均的な見方よりもハト派な見方をしていたため、想定以上のドル高に結果としてシナリオを組み直しを迫られることとなりました。ただ、気をつけなくてはならないのはメンバーの中でもハト派であるパウエルFRB議長が会見でドットチャートは将来の利上げの有無を予測するためのツールとしてふさわしくないと、おそらくは市場の反応に対して過剰反応を抑える発言をしている点です。

また利上げは議論の中心ではなく資産買い取りのほうが重要であるとしながらも、今はテーパリングではなく経済状況のデータをより多く見る段階にあり、テーパリングの発表前に市場に伝えると、テーパリングはまだ先であることを伝えている点でしょう。つまり、テーパリングの議論をするであろうFOMCの前にパウエルFRB議長自ら何らかのシグナルを市場に送ってくるとするならば、やはり8月末のジャクソンホールは適切なタイミングに思えます。

個人的には9月のFOMCかと考えてもいましたので、そうした点では若干早まる可能性があり、その分を修正していくことが今後の見通しに適切であると考えます。早朝以降の反応はFOMC直後ということもあり金利上昇、ドル高という反応を継続していますが、原稿水準(10年債利回り1.59%台、ドル円110.75レベル)よりも強い水準は短期的には過剰であると考えます。

ただ、そうは言ってもテクニカルに直近のドル高値圏を上抜けてきていることもたしかですし、ユーロに関しては、ユーロ円の売りが続いていることからやや上値が重たい展開を考え、本日のところは以下のレンジを見ておくこととします。

 ドル円  110.35〜110.80
 ユーロ  1.1980〜1.2030
 ユーロ円 132.55〜132.90



配信日:2021年6月17日