デイリーレポート(2020年1月27日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はNY市場までは底堅い動きではあったものの値幅は伴わず週末を前に積極的には動きにくい状況が感じられました。NY市場では米国で2人目のコロナウイルス感染者が報告されたことからダウが下落し、その動きに沿ってドル円もリスクオフから109.17レベルまで水準を切り下げ、安値圏での引けとなりました。
いっぽうユーロドルは欧州市場まではもみあいとなっていましたが、欧州市場序盤にポンドが上下する動きに引っ張られてユーロドルも買われた直後に売られる動きに。前日安値を下回ると週末前のストップも出てじり安のまま、NY市場ではユーロ円の売りも手伝った1.1020レベルの安値をつけ安値圏でNY市場を引けています。

週明けの早朝市場では、前週からの新型コロナウイルスの感染拡大が中国の旧正月とともに広がるのではないかという懸念で戻り売りを構えてのスタートとなりましたが、さらにイラクの米国大使館にロケット弾が着弾したとのヘッドラインに現時点では誰が攻撃したかは不明ではあるものの、一気にリスクオフの動きとなっています。おそらく米国はイランが関係しているという見方をするでしょうし、トランプ大統領も攻撃を受けたことで、これまでの態度を一変させる可能性もあります。米国の対応がはっきりするまでは株式市場を中心としたリスクオフ姿勢が強まると考えられます。

問題はこの週明け早朝のギャップダウンの動きは、今まで何度も見てきたように東京の昼頃には落ち着きを取り戻し、後場には買い戻しが出て海外市場に移ると一段高という下げがその後の買い戻しを強めるという動きにつながる可能性があることです。これまでも何度も指摘してきましたが、こうした動きにはおそらくAIを使った逆張り+買い上がりのアルゴリズムが関係しているように思えます。ただ、一つだけ注意する点は中東情勢が悪化しなくてもコロナウイルスの拡大は収まりそうもない点です。中国は旧正月の祝日を3日延長し2月2日までを休みとすることを予定しているようです。

そうしたことを考えるとギャップを埋める動きが出てきた時には要注意ということになりますので、ドル円は109.18をつけるような動きになってきたら素直にドル売りは撤退したほうが良いかもしれません。ギャップを埋めない場合は108.50〜109.15というレンジを考え、ギャップを埋めた場合は既安値を見たということにもなりますので、108.75〜109.40というレンジになりそうです。冷静に考えるならば、ギャップのすぐ上にストップを置いてのドル売り先行です。

ユーロドルは、ドル円、クロス円のリスクオフ相場との関係で動くこととなりそうですからユーロ円の動きを見ておくべきですが、上述の通りこれまでのような早朝売りから始まり、東京後場から海外市場で全戻しということが今回も起きるかどうかということを見極める必要があります。ドル円での2つのシナリオを書いていますが、どちらも考えた上でのレンジを想定するならば、ユーロドルは1.1015〜55、ユーロ円は戻り売りとして119.75〜120.60というところでしょうか。いずれにしてもコロナウイルスによるリスクオフは当面続くものと考えてください。



配信日:2020年1月27日