デイリーレポート(2024年4月19日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場ではやや上値が重い展開となり、昼前に153.95レベルの安値をつけたもののそこまで。既に154円割れでドル買いを考える向きも出てきている様子ですぐに154円台へと戻しました。海外市場に移ってからは米金利が上昇する動きの中で、NY市場では強めの経済指標に反応し154.68レベルまで買われ高値圏での引けとなりました。

ユーロドルも東京市場では買いが先行していたものの海外市場に移ってからはドル買いの動きから1.0641レベルまで下げて安値圏での引けとなりました。

ドル円は底堅い動きが続いているものの介入警戒感がある中、植田日銀総裁がG20後の会見で「円安進行で基調的な物価が上がって無視できない大きさの影響になれば金融政策の変更もありえる」と発言しました。

素直に取れば2%としているインフレ目標が、輸入物価上昇により想定以上に高止まりすれば、早期の追加引き締めもありえるということで、次回では無いにしても年後半を待たずに利上げに動く可能性を示唆したと言えます。

これまでも植田総裁がタカ派的な発言を行い、その後他の日銀関係者がハト派的な発言で軌道修正するものの最終的には植田総裁の最初に言った発言の方向に動いていくという展開が繰り返されています。追加利上げに関する発言はこれで2度目ですから、市場に対して早期追加利上げに対するシグナルを発していると取れます。

今回のG20では為替に関しての討議は無かったと鈴木財務相は言っていましたが、介入に関しても警戒はしておいたほうが良いと思います。過去には為替政策と金融政策が同時に行われたこともありますし、今後155円を超えるような動きが出てくる場合には何かありそうだという心構えは必要でしょう。



配信日:2024年4月19日