デイリーレポート(2024年2月9日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は円安が進む一日となりました。東京前場に清水日銀理事がマイナス金利を解除しても緩和が続くこと、内田副総裁もマイナス金利を解除してもどんどん利上げするパスは考えにくいと、マイナス金利解除後の利上げに対してハト派な見通しを示したことが円安進行のきっかけとなりました。欧州市場に入り週間高値を更新、その後も円独歩安の流れが続きNY前場には149.4レベルと11月27日以来の149円台半ばを見て、やや押しての引けとなりました。

ユーロドルはユーロ円上昇の影響が大きく東京市場では底堅く、欧州市場序盤には1.0789レベルの高値をつけました。その後欧州市場では一時ドル高の動きに引っ張られる局面もありましたが1.0741レベルまで、引けにかけては東京朝方の水準に戻して引けました。ユーロ円はドル円での円安の影響が大きく終日上昇、160.99レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなっています。

日銀理事と副総裁の発言はどちらかというとタカ派な発言に警戒していたこともあって、思った以上にハト派であったことから円安が進行しましたが、どんどん利上げするという言葉が仮にFRBの引き締めのようなことは無いということであれば、誰もどんどん利上げするとは思っていません。おそらく年前半にマイナス金利解除があり、年後半に0.1〜0.25%の利上げがある程度というのがコンセンサスです。

これまでも植田総裁がややタカ派な発言をした後に他の日銀関係者がハト派よりに修正、その後結局は総裁の考える方向に動いてきたという経緯がある以上、今回もこれまで同様に昨日の発言はいったんハト派方向への修正に相当すると考えています。おそらく次回の会合に向けてか次回会合では植田総裁がタカ派的発言をする流れではないかと見ています。

テクニカルには149円台半ばは昨年高値とその後の安値の78.6%戻しと、戻しの限界点であり、ここを上抜けてしまうと152円を目指す展開となりますが、今のところはまだ抜けてはいません。また日柄的にも東京3連休前であり、連休前に利食いが出やすいであろうことを考えると、年始からの円安最終局面であるという見方を残しておきたいと思います。149円台後半を見るようであれば、シナリオ立て直しです。



配信日:2024年2月9日