デイリーレポート(2024年1月25日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日朝の放送内容に代えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の売り」

*ファンダメンタル
 前回は昨年クリスマス前で米国は2024年末時点で6〜7回の利下げを織り込み、日銀も早ければ1月会合でマイナス金利を解除するという見方が広がっていました。しかし、年明け早々の能登半島地震、そして米国からは雇用統計以降強い経済指標が続き、早期緩和思惑がやや後退しているのが現状です。また今週の日銀会合では予想通り現状維持となりました。

(1)FRB
 しかし、米国のFOMCでが1月こそ現状維持であるものの、利下げ時期が後退したとはいうものの、FF先物から計算される0.25%の利下げ織り込み度は3月時点で42%ですが、5月1日のFOMCでは90%と昨年12月時点よりは1ヶ月後退したのみとも言えます。また12月時点は5〜6回の利下げと、こちらも1回減少しましたが、大きな流れは変わりません。
 来週のFOMCでも特にサプライズがあるとは思えず、上述した流れでの思惑形成は今後も続いていくと考えられます。

(2)日銀
 今週の会合では現状維持という点は予想通りでしたが、会合後の植田総裁会見はややタカ派的であったといえます。
 総裁会見では物価目標の実現、マイナス金利の解除といった単語も使いながら3月以降の出口戦略に含みを残す内容となりました。それを受けドル円は一時146.97レベルの安値をつけました。その後海外市場に入り米金利上昇からNY昼過ぎには日中高値を上抜けましたが、昨日は米金利上昇に反してドル円は前日安値を下回る動きとなり、日銀の今後の動きに警戒感を示す動きが続いていると言えます。

こうしたことを考えると長期的なテーマは日米金利差の縮小であることは変わらず、年始からのドル買い戻しの動きはそろそろ終わりを迎え、改めてドル売り・円買いの流れに戻りやすい地合いになっていくと考えられます。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションはここ4週間ほど5万5千枚程度の水準で変化が見られません。昨年のドル高・円安のピークからはだいぶ減少し、現在は小休止といった状況のようです。今後のドル円の方向が改めて円高ということになれば、円売りポジションの減少も再開ということになるでしょう。

*テクニカル
 ドル円は昨年高値と12月安値との61.8%戻しが147円台半ばでしたが、同水準を超えたものの、次の78.6%戻しとなる139円台半ばまでの動きは考えにくい状態です。現在は12月安値と1月高値との38.2%押しとなる145円台半ばをターゲットに調整が入りやすくなってきたと考えています。
 これは昨年のドル高円安の流れの中で円高方向の調整が8円程度であったことを考えると、今回の年末からの戻しも8円超えと調整としてはいったんいいところまで戻したと言えそうです。

*結論
 本日のECB理事会は円相場への影響は限定的でしょうが、来週のFOMCもイベント通過で改めてドル安方向に動くきっかけになりやすいと考えています。年初からの動きはあくまでも調整の動きであると考え、ドルの戻り売りが有効であると考えます。



配信日:2024年1月25日