デイリーレポート(2023年11月30日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日、朝の放送内容に変えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の売り」

*ファンダメンタル
 一昨日ウォラーFRB理事が講演で「インフレ率がさらに数ヶ月低下すれば、政策金利を引き下げる根拠」と数ヶ月、金利を引き下げるとこれまでから一歩踏み込んだ発言を行いドル全面安となりました。

これまでFRB関係者の発言はほぼタカ派であったところに突然緩和の可能性に触れたのですから驚きは当然で、昨日の東京市場では9月以来の146円台半ばを見ましたが、依然として押し目での買いも根強く、NY市場では予想よりも強いGDP改定値に147.90レベルまで戻したものの絶好の戻り売りとなりました。

これはGDP改定値の内訳で個人消費が予想よりも弱かったことが大きかったのですが、前日ウォラー理事の発言で、これまでの押し目買いから戻り売りへと流れが変化してきた可能性も高まっています。FRB関係者内でもタカ派な意見を述べる連銀総裁も当然いますが、しばらくは戻り売りを考えた方が流れに乗りやすいと考える参加者が増えていきそうです。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは先週発表された11月14日時点で13万枚を超える円売りポジションと、2017年以来(その前は2014年とレアな数字)の円売りサイズとなったことで、その後の調整で142円近い水準から直近の146円台半ばまで円買いが進みました。21日時点でも10万枚は超えたままなので、引き続き調整が入りやすいと考えた方がよさそうです。

*テクニカル
 ドル円は今年に入ってから円安一直線ではありますが、3月と7月にはどちらも大きめ、8円ほどの調整を挟みました。今回は高値151.91と昨年高値に3銭と迫って抜けられなかったことから、11月が3度目の大き目の調整となる可能性があり、これまでと同じような値幅だと考えると145円の大台を割り込み144円台をみる可能性が高いと言えそうです。

*結論
 月末の実需の動きもありそうですが、買われたらドルの戻り売り、安値を更新してもデイトレならば突っ込み売りがワークしやすいと考えています。



配信日:2023年11月30日