デイリーレポート(2023年11月29日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では前日の流れを継続しドル売りが先行しましたが、欧州市場序盤からは買い戻しが入り、NY市場前場までは148円台半ばを中心として方向感がはっきりしない上下をしていました。NY昼前にウォラーFRB理事が講演で「インフレ率がさらに数ヶ月低下すれば、政策金利を引き下げる根拠」と数ヶ月、金利を引き下げる根拠とこれまでから一歩踏み込んだ発言を行いドル全面安となりました。147.32レベルの安値をつけ、安値圏での引けとなりました。

ユーロドルもNY市場までは方向感がはっきりしない展開となっていましたが、ウォラーFRB理事の発言をきっかけにユーロ買い。1.1009レベルと大台乗せを見たものの、ユーロ円の売りも出ていたため、値幅はドル円の半分にとどまりました。

事前の注目度はそれほど高くは無かったものの、ウォラーFRB理事の口から緩和への転換の可能性が飛び出たことでドル円は大きく水準を下げることとなりました。仮に今後数ヶ月を3ヶ月とすると、2月までインフレが下がり続ければそれ以降のFOMCで利下げの検討もありうると取れますので、早ければ3月とも考えられます。

この発言からFF先物の緩和への転換時期は、これまで5月五分五分、6月は確実という見方でしたが、やはり3月緩和転換の織り込み度が41%と前日の21%から急上昇。5月の利下げがコンセンサスとなってきました。

ドル円はNY引け後も下げていますが、過去の調整はだいたい7〜8円となっていたことを考えると145円の大台まで下げることも考えるべき状態になってきたと言えそうです。



配信日:2023年11月29日