デイリーレポート(2023年11月15日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

注目の米国CPIを前にドル円はNY市場まで151.70レベルをもみあいの中心として狭い値幅での取引が続きました。CPIは総合、コアともにまた前年比、前月人も予想よりも弱かったことから米金利が急低下、10年債利回りは4.43%台まで水準を下げ、ドル円も151円割れ。その後もユーロドルを中心にドル売りの流れが止まらず、一時150.15レベルの安値をつけ引けにかけては若干戻して引けました。

ユーロドルもNY市場までは小動き、CPI発表をきっかけにユーロドルは大幅高となり、1.0888レベルまで上伸しました。ドル円の下げ以上にユーロドルの上昇がきつかったため、ユーロ円も163.81レベルまで高値を切り上げる動きを見せました。

CPIが予想よりも弱かったことで12月FOMCでの利上げが見送られるであろうとの市場参加者の見通しは一段と強まり、引け時点で利上げ織り込み度はわずか0.2%にまで低下しています。これまでもFF先物の取引水準から計算される織り込み度は低かったのですが、ついに利上げ無しが100%近いコンセンサスとなりました。

今後のFRB関係者の発言がこれまでのようなタカ派的で無くなってくる場合には現状のレートがターミナルレートとなり、それがいつまで続くのかという点がテーマとなっていきます。現時点で市場参加者のコンセンサスは2024年5月FOMCで緩和に転じるという見方になっています。

今回の下げでドル円は昨年高値からだいぶ離れましたので、いったん介入を気にする水準では無くなりましたが、イベントすぎればまた絶対的な金利差でドル買いに戻るというこれまでの流れを繰り返すのか、あるいは短期的にドル売りトレンドとなるのか、ここ一週間程度はそれを見極まる期間となるでしょう。

なお、本日のところはドルの戻り売りが出やすい展開です。



配信日:2023年11月15日