デイリーレポート(2023年11月1日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は大幅に円安が進む一日となりました。日銀会合の結果発表は前夜の日経リーク通りの結果となり、まずここで最初の円売りが強まることとなりました。噂で円買い、事実で円売りという動きだったと思いますが、その後も円売りの流れは変わらず介入結果待ち。予想に反して介入金額はゼロであったことから、150円が警戒水準では無いとの思惑で更に円売りの動きが強まり、引け間際に151.72レベルまで買い上げられ高値引けとなりました。

ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きからユーロ売りとなっていましたが、欧州市場序盤からユーロ円も大きく買われる動きとなったことからユーロドルも上昇、ユーロドルは1.0675レベルの高値を付けましたが、欧州昼以降はドル買いの動きが強まったことで1.0558レベルまで下押しし、安値圏での引けとなりました。ユーロ円は高値160.95レベルと2008年以来の高値を付けましたが、ユーロドルの下げもあり引けにかけては失速し160円台前半へと押しました。

日銀のYCC修正は最終的にはなしくずしで撤廃への道へと繋がり、今後の円金利上昇のきっかけになる決定であると思うのですが、反応は微修正だから円売りというものでした。これについては個人的にはやや違和感が残ります。

また介入実績額がゼロというのは正直驚きでした。となると3円近い下げを演じた主犯は介入に見せかけたような大口の売り、アルゴリズムトレードがストップを巻き込んだ、あるいはその双方ということになりそうですが、タイミングが良かったのかあれほどの下げを演じた動きで介入なしだったことから、介入が水準では無いというものの円売りのきっかけとなりました。これも意外な結果でしたが、逆にいよいよ介入を呼び込む動きに繋がったように思います。

今夜のFOMCはサプライズは無いと思いますが、逆に円全面安の反動が出るのが今夜なのか雇用統計なのか、イベントに関係なく思わぬ動きとなるのか、今後の展開はかなり神経質なものになることは確かで、安易な円売りは注意が必要だと考えています。



配信日:2023年11月1日