デイリーレポート(2023年10月31日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では上値は重たいものの動かず、欧州市場序盤に米金利低下をきっかけに一時的な押しを挟んだもののNY市場前場までは方向感が定まらない流れとなっていました。NY市場に入り日経が日銀会合でYCCの1%上限に対して運用を柔軟化するとのニュースを流し、それをきっかけに日経平均先物の下げと円高の動きとなりました。一時ドル円は148.80レベルとニュース前から1円ほどの円急騰となり、引けにかけては若干戻しています。

ユーロドルも東京市場では動かず、欧州市場に入りユーロ高(ドル安)の動きとなりました、ユーロは目立った材料が出たわけではありませんが、対ドル、対円ともに買われ月末を前にした実需からみの動きであったように見えました。その後、NY市場ではドル円が下げたため、ユーロ円は下げましたが、ユーロドルは引けまで底固い値動きを続けました。

日銀会合は蓋を開けてみないとわからない部分はありますが、YCCの撤廃ではなく運用柔軟化により1%の上限を超えることを容認するということのようです。最近は日経の特報が頑張って前日NY市場で決定前のリークをしていますが、これは公式なリークで急激な変動を抑える効果も考えていると言えます。

柔軟化と言っても1%超えが常態化してくるようであれば、時期を見て有名無実なYCCは撤廃といううやむやな流れでの撤廃を目指しているように思えます。これで結果はおそらくその通りでしょうから、植田総裁会見に注目が集まることとなります。果たして出口戦略に言及するかが最大の注目点でしょうが、それについては緩和継続の文言を変えるとは思えず、今後も非公式な場でちょっとずつマイナス金利解除について話すという流れではないかと想います。

そして欧州市場に入り財務省による介入金額公表がありますが、こちらは予想が正しければ少額介入の実施が確認されるのではないでしょうか。その発表前に追いかけ介入でもすれば、財務省やるなということになりますが、そこまでの期待はできないでしょうか。いずれにしても、一連の流れでどこまで円高になるのか、それ程でもなければ改めてドル買い直しに動くと見られますが、短期的にはかなりドルの上値も重くなってくるであろう点には注意して下さい。



配信日:2023年10月31日