デイリーレポート(2023年10月30日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は週末を前にしたポジション調整を中心に東京寄り付き水準を高値にじり安の展開をたどっていました。NY市場に入り経済指標は予想通りだったものの、逆に買い材料とはならなかったことや、イスラエル情勢が緊迫化し株式市場が大幅安となる動きを見ながら円買いの動きが強まり、149.46レベルまで水準を下げ若干戻して引けました。

ユーロドルはNY市場までは小動き、NY市場が始まる前に一時的な押しが入ったものの、NYの市場ではドル売りの動きからユーロドルは上昇1.0597レベルまで上げたものの、1.0600にはユーロ売りオーダーが並んでいて反落、引けは1.05台半ばとなりました。

イスラエル情勢の緊迫化から株式市場は下げが強まっていますが、商品市場では安全資産として金が買われています。為替市場は今週火曜の日銀会合、水曜のFOMCが注目材料となり、火曜までは動きが出にくい流れとなりそうです。

日銀会合ではマイナス金利の変更は無いもののイールドカーブ・コントロール(YCC)の再調整が行われるかどうかが注目点で、現時点では市場参加者の見方が分かれています。日本の10年債利回りは0.88%と上限の1.0%に近づきつつあることや、15年債利回りが上昇を続けていることを考えると、次回会合までに上限に達する可能性もあり、そうなると連続指値オペをすることとなりますので、思い切ってYCC自体をやめるほうが将来のことを考えると望ましいとは思います。個人的にも五分五分ではないかと思いますが、多少期待も込めて変更ありの見方をしておきます。

ま他31日には10月の介入実績が発表されますので、3日の3円近い円急騰が介入だったのかどうかも確認できます。個人的には日銀残予想の誤差の範囲内に収まる程度の小規模介入が行われたと思っていますが、答え合わせをすることとなります。

火曜正午頃の日銀結果発表、15時半の植田総裁会見、19時の財務省による介入実績発表と火曜に昼から欧州市場前場までが今週最大の山場になると思います。日銀の修正あり、介入はあったという前提で考えるとイスラエル情勢の問題もあり、今週はFOMC前に円高に触れる可能性が高いのではないかと見ています。



配信日:2023年10月30日