デイリーレポート(2023年9月21日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日は朝の放送で話した内容に代えさせていただきます。

*ファンダメンタル
 先週のECB理事会では0.25%の利上げが行われ、昨日のFOMCは現状維持ではあったものの金利見通しは2023年末の中央値が5.625%と前回6月の見通しを維持、2024年末は0.5%引き上げられ5.125%となりました。

ECB、FRBともにインフレ率の低下が鈍化していることを警戒していることの現れですが、パウエル議長もインフレは依然として高い、金利を更に引かゲル用意があると、11月もしくは12月の利上げ思惑がくすぶります。

いっぽうでFF先物から計算される市場参加者の見通しは年末まで現状維持と、FRBの見通しよりもハト派ですが、昨夜のFOMCでは経済状況についても堅調に拡大としていることから、今後のCPI次第では利上げの可能性は高くなってきたと見るほうが良さそうです。

金曜には日銀会合もありますが、先週の植田日銀総裁が言及した条件が整えばマイナス金利の解除もという話は日銀内でトーンダウンしていますし、仮にあっても年内では無いことから絶対的な日米金利差があり、落ち着けばドル買いという流れは今後も続くと見られます。

いっぽうで、9月末を控えて最近の円安進行は輸入業者にとっては悩ましい問題です。6月日銀短観で示されていた想定為替レートは2023年通期で132.43と原稿水準から15円以上も乖離しています。9月末に向けてもし150円をトライするような動きが出てくる場合には、財務省による輸入業者救済介入が出てくる可能性もあります。昨年9月の最初の介入はそのような意味合いもあったと言われています。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは10万枚を若干割り込む水準を過去4週間続けています。ドル円での円売りに加え対欧州通貨での円売りなど円独歩安が続いているものの、高値圏にあることから新規での円売り増しにまでは動いていないという状況です。

*テクニカル
 ドル円の円安トレンドは6月高値145.07を上抜けた時点で確定し、現行水準よりも上の水準は節目の大台150円、昨年高値の151.95程度しか目立ったものはありません。しかし、148円台に乗せてきたこと、9月末を控えていることを考えると150円まで一気に行くとも思えず、その手前で介入が出る可能性は高いでしょう。

仮に3月安値を起点に上昇N波動を考えると、78.6%フィボナッチ・エクスパンションは149.37となりますので、テクニカルなターゲットと併せて考えると149円台前半は注意したいところです。

日柄的には9月29日前後に円高へ転換する可能性があり、こちらは9月末と重なります。

*結論
 大きな円安の流れは変わりませんので、こわごわとではあるものの押し目買い、ごく短期的なターゲットは最終的に上抜けた148円がサポートとなるため、148.10水準です。ただし、149円台前半での介入警戒感は高いため、149円では売りと、回転よく押し目買いと利食いを進める期末前と言えるでしょう。



配信日:2023年9月21日