デイリーレポート(2023年7月31日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

日銀会合に向けて139円台前半で細かく上下に振れる展開でしたが、結果は日経速報通りに金利は現状維持、イールドカーブ・コントロール(YCC)は変動拡大を容認し、1%を連続指値オペの水準とするものでした。この発表を受け初動は円高に動いたものの直後に大きく円安に振れ141円台乗せ、その後に138円目前まで下げと乱高下。しかし、当面の材料が出尽くしたこと、短期の日米金利差拡大は変わらないことから、NYの引けにかけては141.18レベルまで再度買われて高値引けとなりました。

ユーロドルは欧州市場序盤まではドル円の乱高下をよそに細かい上下を店、一時1.0943レベルの安値をつけました。その後ドル円の上昇とともにユーロ円でも大きく円安に振れた動きもあってユーロドルは1.1047レベルまで上昇後、若干押して引けました。

今回の日銀会合では具体的に金利上昇の上限を示したことで今後の政策を明確にしたと言えますが、おそらく事前にある程度の議論の下地はあったはずで、そうであるならばYCCの修正も含めて無いといった誤った情報は日銀としては出すべきでは無かったでしょう。内田副総裁の発言以降は肯定も否定もしない今後議論するといった程度のぼかした発言が望ましかったと言えます。

結局この乱高下は何だったのかというのが正直なところでですが、材料出尽くしで、絶対的な金利差が存在することによる円売りに回帰したというところでしょうか、円売りポジションが再び増加する方向に動いたと見られます。ただ、YCCの上限を実際には1%へと拡大したことは事実ですから、今後日本のCPIの数字が出るたびに高ければ金利上昇へと動きやすくなり、結果として引き締め催促相場へと向かっていくように思います。



配信日:2023年7月31日