デイリーレポート(2023年7月28日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は仲値後に前日安値を下回り一時的に円買いが強まったものの、その後は円売りへの流れへと戻しました。NY市場までは若干底堅い程度の動きでしたが、米国GDP速報値が予想よりも強く米金利上昇とともにドル買いが強まり、ユーロドルの下げもドル買いとなりました。一時141.32レベルと前日高値を上回りましたが、NY後場の日経速報で金融政策の枠組みは変えないものの長期金利の一時的な上昇を容認することを議論と流れ一転急落。引け間際には138.76レベルの安値をつけ、やや戻して引けました。

ユーロドルはECB理事会で利上げが行われることは確実視されていたことや、ひょっとしたらタカ派な発言が出る可能性もあるかもしれないとの思惑的なユーロ買いの動きが先行しました。欧州市場昼前頃に一時1.1150レベルと週初の高値を上回る動きを見せてのECB理事会待ち。ECB理事会は予想通りであったものの、ラガルド総裁会見で最近のECB関係者の発言と同様に現時点ではハト派な見方を示したことでユーロ売りとなり、強い米国GDPも重なって1.0966レベルまで下押しし安値圏での引けとなりました。

NY前場まではドル買いの勢いが強かったものの、日経速報で会合前に円高へと急転することとなりました。本日正午頃に答え合わせとなりますが、昨日一日目の会合で議題として登場し、突然の発表で市場参加者を焦らせないようにといったオフィシャルリークであると考えられますが、欧州市場も終わり参加者が少なくなった後というのはタイミングとしてはどうだったのかと思われます。

さらに振り返ると内田副総裁が将来的なイールドカーブコントロールの修正に言及したにも関わらず、その後それを否定するような発言をして、相場を振れさせるような一連の言動は日銀としてどうなのか、正直疑問に感じるところです。まさか、これで現状維持で何も変わらないといったことは無いと思いますが、もしそんなことがあったら中銀として市場参加者との対話をどう考えているのか、総裁会見時に質問が出てくることは必至でしょう。

ここでは昨夜の報道通りに10年債利回りが多少上がっても容認ということを前提で考えますが、今後投機的に国債を売る動きが出て、どこでそれを抑える動きが出てくるのか日銀は試されるでしょう。そうなると為替相場は円高バイアスがかかりますが、水曜のFOMCで日米金利差が拡大したことで、長期的なドル売りはますますしにくくなっています。

そうなると、上値は重くなってくるが下がったところでは買いも出てくるという展開が予想され、当面は137〜142円をコアレンジとする動きになるのではないでしょうか。



配信日:2023年7月28日