デイリーレポート(2023年7月27日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日のコメントは今朝の放送で話した内容に変えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の買い」

*ファンダメンタル
 金融政策ウィークのトップを切ってFOMCが行われました。コンセンサス通り「0.25%の利上げ」となりました。6月の見通しで示された年内もう1回の利上げの有無については「データ次第で会議ごとに決定」と追加利上げの可能性は残したままでした。
 いっぽうFF先物から計算される金利市場参加者の見通しは「今回で打ち止め」、来年3月まで現状維持後に「5月から利下げ」となっています。このあたりに乖離はあるものの、金利水準が5.25〜5.50%へと上昇した事実が短期的には重要です。
 金曜の日銀会合ではYCCも含めて現状維持がコンセンサスですが、将来的にYCC修正が入ることは間違いないでしょう。今後のFRBのスタンスとの違いで考えると、来年5月以降はいよいよ金利差縮小へと転換する可能性が高く、今後そうした見方も出てくるでしょうが、今すぐに影響する話ではありません。

 絶対的な金利差が拡大したことで米金利5.375%、円金利0%、為替レート140円の場合、1万通貨の買いで得られるスワップ金利の理論値は210円です。念のため日銀会合も待ちたいものの、ひとつイベントが経過したことでドル円でのドル買いは継続しやすいと言えます。
 ただ、昨年介入が出た145円を超える円安も考えにくく、当面は140円割れの買いと、145円近くでの売りという流れの中で現在の水準はドル買いが出やすい水準と見てよさそうです。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは直近で90,239枚の円売りとなっていて、それまでの11万枚を超える円売りポジションからはかなり減少しています。逆に改めて円売りを考える向きも出てくる可能性が高まってきたと見ても良いでしょう。

*テクニカル
 ドル円の値動きを振り返ると3月安値と6月高値の半値押しで下げ止まり、その後は6月安値と7月高値の61.8%戻しで上げは終わりました。ここからは7月安値と戻り高値との半値押し139円台半ばが下げ止まる水準と見られ、てくにかるにも140円割れはいったん買い場となりそうです。
 レジスタンスについては戻り高値の142円を意識しておけば良いと見ていますので、短期的には140円割れの買い、142円での売りとなります。

*結論
 大きな円安の流れは変わらず、金利差、テクニカルな観点で短期的にはサポートに近い現在の水準はドル買いで入りやすいでしょう。



配信日:2023年7月27日