デイリーレポート(2023年6月1日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では139円台後半でしばらく動かずの状態でしたが、株価の下げに遅れて東証引け間際から円高へと動き139.32レベルへと下値を切り下げました。その後欧州市場では買い戻され再び139円台後半でのもみあいを継続後に予想よりも強い求人件数に反応し140.42レベルの高値をつけました。その後は大台超えでは戻り売りを考える向きも多く、FOMCメンバーから6月利上げ見送り支持の発言とともに139.23レベルへと反落し、安値圏での引けとなりました。

ユーロドルは東京前場から上値の重たい展開が続き、ユーロ円の上値の重さも手伝って東京昼過ぎには1.07割れ。欧州市場では欧州株が弱く前日の安値を下回ると売りが広がる展開に。NY市場朝方に一時的に買い戻しも見られましたが戻り売りが強く1.0635レベルまで売られましたが、引けにかけてはドル売りの動きから1.06台後半へと戻して引けました。

ドル円は前日の三者会合後の財務官発言で円安進行に歯止めがかかった後に雇用統計に向けて一連の雇用関連の数字に注目が集まっていましたが、それ以上にインパクトがあったのは複数のFRB関係者による利上げ見送り発言でした。これまでFRB関係者からはタカは発言ばかりが目立っていたところに利上げ見送り支持の発言が飛び出たことで10年債利回りは3.614%まで低下し、ドル売りの動きとなりました。

FF先物の利上げ織り込み度は急激に低下、現状では利上げ見送り現状維持の割合が65%と一気に逆転することとなりました。両氏とも現時点では現状維持とした上で更なる利上げが必要が観察期間とすることで利上げ停止ではないとも言っていますが、現時点では少なくともパウエル議長以外に二人は現状維持という方向が見えてきたことでFOMCまでに出てくる経済指標の重要度が一層高くなったと言えます。

ただ、これまでも市場のコンセンサスが行き過ぎるとFRB内で示し合わせたかのように反対方向の発言で調整を入れてくることはよくありましたので、あくまでも数字次第でどちらもあり得る、ただし引き締めによる景気に与える影響も気にしているといった様子がわかるものでした。

短期的には日米双方の材料でドル円、クロス円ともに上値が重く戻り売りが出やすいという見方をしていたほうが良さそうです。



配信日:2023年6月1日