デイリーレポート(2023年5月11日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京市場では底堅い動きを続け、後場には一時135.47レベルと週間高値を更新しましたが、値幅は伴わず米国CPI発表待ちという流れがNY市場まで続きました。CPIは予想よりも低く総合CPIが4.9%と予想よりも低かったことを受け、米金利が週初の水準まで低下、ドル円も急速に値を下げNY後場には134.11レベルまで売られ、若干戻しての引けとなりました。

ユーロドルもじり安の動きから1.0942レベルと前日安値をギリギリ割り込まない水準まで下げてのNY市場待ち。CPI発表後はドル売りの動きから1.1007レベルまで買われた後、やや押して引けています。ユーロ円がドル円とともに下げた動きがユーロ買いを相殺したことで、値幅は終日で65pipsといまひとつ冴えない展開となりました。

ドル円は週初から緩やかなドル高の動きが続いていましたが、予想よりもわずかに弱かったCPIに反応して先週金曜の水準へと押してきました。為替市場を取り囲む材料は、米銀の経営不安、債務上限問題、景気後退リスクなど基本的にドル売りに繋がりやすいテーマが多いのですが、金融政策の温度差が唯一円安要因になっている構図です。

昨夜のように米金利も低下となるとドル円は売りが出やすいものの、動きがおさまってくるとじわじわと円売りが湧いてくるという動きを繰り返すこととなります。今朝公表された4月末の日銀会合主な意見を見ても緩和継続以外は考えていないようにも見え、引き続き日銀と他の主要中銀との違いがドル円を下支えしやすいと言えます。

また債務上限問題は明日12日に再度協議が行われますが、簡単にまとまるとも思えず、こちらは短期的にドルの上値を抑えてきますし、先行きが不透明になってくると米債売り(金利上昇)という展開も考えられますが、その場合には金利上昇によるドル買いとはならない点には要注意です。



配信日:2023年5月11日