デイリーレポート(2023年5月8日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

金曜のドル円は東京市場が休場ということもありNY市場までは134円台前半の狭いレンジでのもみあいが続きました。米国雇用統計がNFP、失業率とも予想よりも強い結果となり、135.13レベルまでドルが買い戻される動きとなったものの、135円台では売りも出たこと、ユーロドルの会が出たことから134円台後半へと押して引けました。

ユーロドルはアジア時間はユーロ買い、その後NYまでユーロ売りと1.10台前半で方向感がはっきりしない流れが続きました。NY市場では強い雇用統計を受けたドル買いから一時1.0967レベルまで水準を下げましたが、ECBの利上げ継続思惑による金利差縮小期待からユーロ買い戻しも目立ち、アジア時間の水準まで買い戻され若干押して引けました。

先週後半は東京市場が休場の間にFOMC、ECB理事会、そして上記の米国雇用統計と重要イベントが続きました。FOMCでは予想通り0.25%の利上げが行われましたが、声明から追加での引き締めへの言及は削除され、今回の利上げでターミナルレート(ピーク金利)に到達したと考えられます。しばらくは現在の5.0〜5.25%の金利が維持されることとなりますが、市場参加者は9月FOMCでの緩和転換を見込んでいることは変わらず、6月FOMCでの金利見通しで答え合わせをすることとなります。

4日のECB理事会では利上げ幅は0.5%がコンセンサスでしたが、0.25%と利上げ幅を縮小し、追加利上げには言及していることから回数をおそらくはあと2回とする方向にしたと見られます。また満期債券の再投資を7月で停止することも併せて発表し、引き続き引き締め姿勢は鮮明といえます。今後あと2回で計0.5%の利上げが見込まれるとその分米欧金利差は縮小し、引き続きユーロドルの底堅さに寄与してくると見られます。

これらの決定と前週の日銀の決定を合わせて考えると、引き締め継続のECB、ピーク金利に達したFRB、緩和継続の日銀と金利面での通貨の強弱を明確で、そこに米国の金融機関不安といったリスクオフ要因を絡み合わせて判断していくということになるでしょう。つまり、ドル円とユーロ円は先週で目先の安値をつけた感があり、ユーロドルは再び高値更新を目指す展開にあるというところです。



配信日:2023年5月8日