デイリーレポート(2023年4月27日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日朝の放送で話した内容に替えさせていただきます。

*注目通貨ペア 「ユーロ円の買い」

*ファンダメンタル
 明日は日銀会合、5月3日FOMC、4日ECB理事会と主要3極の金融政策決定会合を前に、市場参加者が最も気にしているのは植田新総裁初の会合となる日銀会合となりそうです。しかし、就任後の会見から考えても4月会合での政策変更はYCCも含めて行われないと見る方が自然です。今回の会合と会見では今後どの段階で変更をする可能性があるのかを探る会合となるでしょう。
 またFOMCは0.5%の利上げがコンセンサスで、市場参加者は今回の利上げが最後となり、その後7月まではピーク金利(5.0〜5.25%)が維持され、9月にも緩和に転じるという見方となっています。そしてECB理事会でも同様に0.5%の利上げが見込まれ中銀預金金利は3.5%になると見られますが、6月以降も利上げ幅こそ縮小するものの引き締めが継続されると見られています。
 つまり、金融政策の温度差から考えると、引き締め継続のECB、利上げ打ち止めのECB、緩和継続の日銀となり、金利差との相関が高い為替市場では通貨の強弱として「ユーロ>米ドル>日本円」という序列にあると見て良いでしょう。こうした背景もあってユーロ円は25日に高値148.63と年初来高値を上抜け2014年12月以来の高値をつける動きとなっています。

*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは先週時点で円が売りの56869枚となっていて、ここ1ヶ月ほど変化はありません。またユーロは164,361枚の買いとなっていて水準的にはかなり高水準ですが、利食いが出て買いが減るとまた買われるという動きとなってきているため、現時点でそれほど気にする必要はないと思われます。

*テクニカル
 テクニカルには2014年12月高値の149.79を視野に入れた展開ですが、そこまで行くと150円の大台もターゲットとなります。しかし、2014年12月高値よりも上のレジスタンスはリーマンショック前の2008年7月高値169.97まで目立ったレジスタンスは無く、テクニカルには上昇余地が大きいと言えそうです。

*結論
 今後も押し目が入ってくる局面ではユーロドル、ユーロ円ともカウンターで買いが入ってくるという今週のような動きが当面は続くと見られます。ユーロ円の大台150円は今日明日で無くともGW中に試しに行く可能性が高いと考えています。



配信日:2023年4月27日