デイリーレポート(2023年3月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ECB理事会を前にNY市場までは小動きなドル円でしたが、昨夜は米地銀ファースト・リパブリックの経営危機からリスクオフに動き、一時131.72レベルの安値をつけました。その後、大手米銀による支援が報じられ株高、ドル円買い戻しとなり、133.83レベルまで買い戻され高値圏での引けとなりました。

ユーロドルはECB理事会までは底堅い動きとなっていましたが、ECB理事会は予想通り0.5%の利上げ。今回のECBは高止まりするインフレを抑える方向で動いたものの、今後の金融政策については現時点ではコメント不可能とし、金融市場の問題についても必要に応じて流動性を供給する準備はあるとしました。ECB理事会よりも米地銀問題の方がクローズアップされたため、ユーロ円の下げとその後の買い戻しに引っ張られる展開でした。ユーロ円は139.12レベルまで下げた後142.00レベルをつけ131円台後半で引けています。

先週末から米国を中心に金融機関の破綻や経営危機のニュースが途切れませんが、いまのところ各国の当局はうまく対応しています。しかし、これで終わったと見ることには無理があり、今後も断続的に同様の問題がニュースヘッドラインに出てくるでしょう。そうしたことが続くと、投資家心理は冷え込みますので株安、リスクオフによる円高というこの1週間みてきた流れは続きやすいはずです。

本日は週末ということもあり、積極的な取引は手控えられそうですが、取引が薄くなるNY後場の動きには注意しておきたいところです。



配信日:2023年3月17日