デイリーレポート(2023年3月16日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

欧州市場までは前日のリスクオフの巻き返しが続き、欧州市場朝方には135.11レベルの高値をつけていました。しかし、以前から経営不安が囁かれていたクレディスイスに対して筆頭株主のサウジアラビアが追加投資はしないと述べたことをきっかけに同社株を中心に欧州株式市場は全面安となり、ドル円、ユーロドルともに大幅安となり、NY朝方にドル円は132.21レベルの安値をつけ、引けにかけてはスイス中銀が必要ならば流動性を供給すると発表したことで133円台前半へ戻して引けました。

ユーロドルは東京前場に1.0760レベルの高値をつけた後はやや利食い売りが入っての欧州市場入りとなりましたが、クレディスイス関連のニュースでNY昼前に1.0516レベルの安値をつけました。引けにかけてはスイス中銀の声明を受け、1.05台後半へと戻しています。ユーロ円はドル円とユーロドルの動きが重なったこともあり、144.96レベルから139.48レベルへと約5円50銭の急落を演じ、141円目前の水準まで戻して引けました。

シリコンバレー銀行破綻による米国の金融不安は落ち着いていましたが、今度は欧州最大手のひとつクレディスイスの経営不安の話が出てきました。各国の金融当局は金融危機にならないように動くはずですが、それでもまだ各国の金融機関に対する不安は残っています。日本の地銀クラスで国内での運用が難しく米国債などの外債に投資しているところは含み損が出ているでしょうから、金利が低い日本でも対岸の火事とは言っていられないでしょう。

しばらくは各金融市場では不安を抱えながらリスクオフに動きやすい地合いが続きやすいと見ていた方が良いです。



配信日:2023年3月16日