デイリーレポート(2023年3月15日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

前日はシリコンバレー銀行の破綻の影響からリスクオフの動きが強まりましたが、当局の対応によりいったんは落ち着きつつあることからリスクオフの巻き返しの動きになりました。株式市場は上昇し、ドル円も一時134.90レベルまで買い戻されました。米国CPIは予想通りとなったこと、目先の材料が米国の金融機関問題へと変化してきたこともあって材料視されませんでした。引けにかけては134円台前半に押して引けました。

ユーロドルは東京市場ではユーロ安・ドル高とドル円同様に巻き返しの動きとなっていましたが、米国債とともにブンズ(ドイツ国債)の利回りも上昇したことからユーロ買いへと転じました。リスクオフの巻き返しでユーロ円の買い戻しが強まったことも効いたようです。引けにかけてはユーロドルが1.07台、ユーロ円は144円台に戻して引けています。

週末を挟んでシリコンバレー銀行破綻に対する見方がかなり変化してはいますが、同様の問題は米国の他の中堅銀行も抱えていますし、欧州のように金利上昇が急な国でも間違いなく水面下で問題が大きくなっているように思います。

国債の場合、満期まで所有していれば額面で償還されるため、それまで保有できるような対応を金融当局が取れば金融危機とまではいかないでしょうが、これまでの引き締めと矛盾することや、一部業界だけを支援することができるかとなるとそれはまた別の問題ですから、今回の問題はこれで終わったというよりも、まだまだ不安を抱えた状態と見ていた方がよいでしょう。

本日はまだリスクオフの動きに警戒して以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  133.00〜134.40
 ユーロ  1.0700〜1.0775
 ユーロ円 143.50〜144.50



配信日:2023年3月15日