デイリーレポート(2023年2月16日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日のレポートは朝の放送でお話しした内容に代えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の売り」

*ファンダメンタル
 先週は日銀総裁人事でドル円は振らされる展開が続きましたが、週明けの雨宮副総裁に打診は緩和路線継続による円売り、金曜に植田元審議委員の名前が出た際の初動はよくわからないから円買い、その後ハト派なスタンスを取るであろうとの見方が広がり行って来いの円安という流れでした。
 たしかに誰が就任しても当初は緩和路線を継続して始まるであろうことは想定内だと考えられますが、問題は新総裁に求められる異次元緩和とその副作用からの脱却です。昨年12月のYCC変動幅拡大からも分かる通り、長期金利の誘導目標は日銀にとって足枷となっているため、緩和を継続しつつもYCCを撤廃し長短金利のスプレッドの歪みを無くすことが正常化への第一歩となり、その時期は思いの外早いタイミングで実施されるのではないかと考えられます。
 そして今週は米国CPIが波乱要因となりました。今回からウェイトづけが変更されわずかに高い数字となるというのが事前予想でしたが、これまでとの差は数bpで0.1%にも満たないという予想でしたが、結果は予想よりも強いものでした。前月より減ってはいるものの、インフレ減速のペースが落ちていることは明らかです。
 これを受け複数のFRB関係者がタカ派な発言を行い、3月FOMCでは金利見通しがもう一段引き上げられるのではとの思惑から、FF先物のピーク金利は0.25%上昇し、6月〜11月の間は5.25〜5.5%という取引水準となっています。それでも12月には緩和への転換という見方が変わっていないことも重要です。
 短期的には依然として日米金利差拡大による円安、年後半には金利差縮小を見込んでの円高という動きがもっとも可能性が高そうですが、短期的な円安については先週金曜安値の129.80レベルから昨夜の高値134.36レベルまで既に4円56銭の動きとなっていて、一波の動きとしてはかなり大きくなってきたと見られます。
*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは先週時点で21635枚となっていて、昨年秋からの円高の動きの中で最も円売りポジションが少ない状態です。その後の値動きを考えると円売りがやや増加している可能性もありますが、海外投機筋を中心にまだ円高の可能性を見込んでいると見た方が自然ではないかという印象です。
*テクニカル
 テクニカルには2021年のドル安値102.59と2022年ドル高値151.95との半値押し127.27を達成した(年初来安値127.22レベル)ことで、中期的なドルの安値を見たということが大きかったと思います。その後の円安の動きによって、20222年高値からの下降チャンネルも上抜けたことで流れが加速気味というのが直近の動きです。
 こうなると2022年高値と年初来安値との38.2%戻し136.65を目指しやすいと見る向きも増えていますが、短期的には135円の大台を前にそろそろ利食いも出やすい水準です。昨夜の134円台は目先の高値をつけた可能性が高いと思われます。
*結論
 大きな流れは年後半を見越しての円高トレンドは続いていると言えますが、短期的には金融政策ウィーク、日銀総裁人事、米国CPIと一巡したことで、大きな材料がありません。先週末から昨夜までにある程度円売りに傾いたと考えると、短期的にはドルの戻り売りを考えたいところです。本日のレポートは朝の放送でお話しした内容に代えさせていただきます。

注目通貨ペア 「ドル円の売り」

*ファンダメンタル
 先週は日銀総裁人事でドル円は振らされる展開が続きましたが、週明けの雨宮副総裁に打診は緩和路線継続による円売り、金曜に植田元審議委員の名前が出た際の初動はよくわからないから円買い、その後ハト派なスタンスを取るであろうとの見方が広がり行って来いの円安という流れでした。
 たしかに誰が就任しても当初は緩和路線を継続して始まるであろうことは想定内だと考えられますが、問題は新総裁に求められる異次元緩和とその副作用からの脱却です。昨年12月のYCC変動幅拡大からも分かる通り、長期金利の誘導目標は日銀にとって足枷となっているため、緩和を継続しつつもYCCを撤廃し長短金利のスプレッドの歪みを無くすことが正常化への第一歩となり、その時期は思いの外早いタイミングで実施されるのではないかと考えられます。
 そして今週は米国CPIが波乱要因となりました。今回からウェイトづけが変更されわずかに高い数字となるというのが事前予想でしたが、これまでとの差は数bpで0.1%にも満たないという予想でしたが、結果は予想よりも強いものでした。前月より減ってはいるものの、インフレ減速のペースが落ちていることは明らかです。
 これを受け複数のFRB関係者がタカ派な発言を行い、3月FOMCでは金利見通しがもう一段引き上げられるのではとの思惑から、FF先物のピーク金利は0.25%上昇し、6月〜11月の間は5.25〜5.5%という取引水準となっています。それでも12月には緩和への転換という見方が変わっていないことも重要です。
 短期的には依然として日米金利差拡大による円安、年後半には金利差縮小を見込んでの円高という動きがもっとも可能性が高そうですが、短期的な円安については先週金曜安値の129.80レベルから昨夜の高値134.36レベルまで既に4円56銭の動きとなっていて、一波の動きとしてはかなり大きくなってきたと見られます。
*ポジション
 シカゴの通貨先物のポジションは先週時点で21635枚となっていて、昨年秋からの円高の動きの中で最も円売りポジションが少ない状態です。その後の値動きを考えると円売りがやや増加している可能性もありますが、海外投機筋を中心にまだ円高の可能性を見込んでいると見た方が自然ではないかという印象です。
*テクニカル
 テクニカルには2021年のドル安値102.59と2022年ドル高値151.95との半値押し127.27を達成した(年初来安値127.22レベル)ことで、中期的なドルの安値を見たということが大きかったと思います。その後の円安の動きによって、20222年高値からの下降チャンネルも上抜けたことで流れが加速気味というのが直近の動きです。
 こうなると2022年高値と年初来安値との38.2%戻し136.65を目指しやすいと見る向きも増えていますが、短期的には135円の大台を前にそろそろ利食いも出やすい水準です。昨夜の134円台は目先の高値をつけた可能性が高いと思われます。
*結論
 大きな流れは年後半を見越しての円高トレンドは続いていると言えますが、短期的には金融政策ウィーク、日銀総裁人事、米国CPIと一巡したことで、大きな材料がありません。先週末から昨夜までにある程度円売りに傾いたと考えると、短期的にはドルの戻り売りを考えたいところです。



配信日:2023年2月16日