デイリーレポート(2023年2月15日配信)

著者画像
WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

米国CPI発表を前にして基本的には前日NY市場での流れを継続しドルの上値が重たい展開が続きましたが、ポジション調整の範囲を超えるものではありませんでした。米国CPIは算出方法が変わることで前回までの数字とは直接比較がしにくいものの、わずかに強い数字となるというコンセンサスでの発表待ち。

結果はCPIが5.6%と前回よりは低かったものの予想よりは強く、ここにきてインフレ減速のスピードが鈍っているという印象を与えました。発表直後は米金利が乱高下したものの、FRB関係者の複数の発言も重なってその後は金利が上昇、為替市場も直後は乱高下し一時131.52レベルの安値をつけたものの、その後は133.31レベルまで上伸し若干押しての引けとなりました。

ユーロドルも米国CPIまではユーロ買い(ドル売り)の動きが続き、CPI発表後に1.0804レベルまで上昇後に1.0707レベルへと反落し、引けは1.07台前半で引けています。

CPIは予想よりも強くまたインフレの減速ペースが鈍っていることを懸念する発言が複数のFRB関係者から聞かれたことで、FF先物の取引水準から計算されるピーク金利のコンセンサスは5.25〜5.5%へと上昇しました。しかし12月FOMCでの緩和転換という見方はそのままとなっています。

CPIの計算方法の変更で高めの数字になるとは言っても0.1%未満の差で結果にはそれほど影響は無いという見方でしたが、それ以上にインフレ減速が鈍ってきていることの影響が大きく、3月FOMCでの金利見通しも一段と上がってくるのではないかという見方が今後増えてきそうです。

ただ、為替市場で現在の水準からこのままドルが上昇を続けるのかというと、そこまでのドル高になるとも思えず、個人的には現在の水準はやや高いという見方には変化はありません。もう少し新たな材料が出てこないと133円台前半でいったんドル買いの動きは止まるのではないかとみています。ユーロドルも同様にユーロ買いの動きを考えたいところで、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  132.25〜133.25
 ユーロ  1.0700〜1.0770
 ユーロ円 142.20〜142.90



配信日:2023年2月15日