デイリーレポート(2023年2月3日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はFOMC後のドル安の流れを続け朝方に128.18レベルの安値をつけましたが日銀副総裁の緩和継続発言で下げる前の水準へと戻しました。その後欧州市場までは金融政策イベントを控えたユーロドルが下げる動きとともにドル買いとなり129.13レベルの日中高値をつけました。NY前場にはユーロ円の下げに引っ張られた円買いから128.08レベルの安値をつけたものの下げきれずに128円台半ばへ戻して引けました。

ユーロドルは前日のFOMC後の買いの流れが続き東京朝方には1.1033レベルの高値をつけました。大台にしっかり乗せたことで達成感が出たことやECB理事会を前にしたポジション調整からその後はじりじりと水準を下げ、1.09台後半での発表待ち。ECBも英中銀同様に0.5%利上げと事前予想通りだったものの、FRBや英中銀とは異なり声明では次回も0.5%利上げを示唆するタカ派的な内容でした。しかし、ラガルドECB総裁は会見で次回0.5%利上げ、その後は経過を見ていくとしたことで、3月で利上げ打ち止めも意識され、ユーロドルは急速に水準を下げ、1.0885レベルまで水準を下げる動きとなりました。

一連の金融政策イベントが終わりましたが、FRBはディスインフレプロセス、英中銀はインフレはピークに達したとそれぞれ引き締めの終わりが近いことを示唆する内容でした。ECBも声明ではタカ派的に見られましたが総裁会見では次回以降の利上げは経過を見てと同様に引き締め終了の可能性も示唆しました。

主要通貨がそれぞれ方向としては弱いことになりますが、長期的には主要国が引き締めが終了し緩和へと転換する流れの中で、日銀が緩和を縮小する動きを始められるのかどうかというところでしょう。緩和縮小に動ければ円高の流れが続くでしょうが、日銀は何もできないままで緩和継続ということになると、どこかでまた円安再開ということもあり得ます。このあたりはまだ先の話ですが、シナリオのひとつとして気に留めておくべきテーマです。

さて今夜は週の最後を飾る米国雇用統計です。失業率は前回の3.5%から3.6%へわずかに悪化、NFPは前回の22.3万人から18.5万人へと同じく減少(悪化)予想となっています。FRBがタカ派的な根拠の一つが強い雇用ですから、予想通りに弱い数字となると米金利低下とドル安の動きとなりそうです。本日まで予想レンジは示さないでおきます。



配信日:2023年2月3日