RE: デイリーレポート(2023年1月26日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

本日は今朝の放送で話した中的な見通しをレポートに代えさせていただきます。

*ファンダメンタル

12月、1月と日銀会合をきっかけとした乱高下が続いています。12月はイールドカーブコントロールの変動幅拡大による長期金利上昇容認という緩和縮小の政策でしたが、1月は資金供給オペのひとつである共通担保オペの期間拡大による長期金利低下を促す緩和政策と、市場参加者は振り回されています。

しかし、黒田総裁の任期終了まで2ヶ月と少し、長期的な日銀の方向性を考えると12月の動きが本流であり、1月の動きは10年債利回りが上限に到達したことによる経過措置と見ることが妥当です。短期的には日本の金利が低下する可能性から円売りが出やすいものの、130円台後半では戻り売りを考える向きが思いのほか多いようです。

2月1日のFOMCにおける0.25%利上げは織り込み済み、コンセンサスでは3月FOMCでもう0.25%上げて打ち止めと見られますが、2023年のFOMCメンバーは昨年に比べややハト派メンバーが多いことを考えると、既に米金利は上限が見え、いっぽうで日銀は一段の緩和縮小に動く可能性が長期的にドルの戻り売りを出やすい地合いにしています。

特に日本の10年債前後の7年債と15年債の利回りを見ると、10年最利回りは不自然に低く抑えられ7年債利回りとほぼ同じです(参考チャート添付)。この動きを見ていても歪んだ政策にはいつか終わりが来るという見方がよいと考えます。

*ポジション

シカゴの通貨先物のポジションでは若干の円売り増加を1週挟んだ以外は着実に円売りポジションが減少し先週時点で既に22000枚となっています。10月のピーク時には10万枚を超えるポジションだったことを考えると激減ではあるものの、日米金利差拡大がピークを迎え縮小に転じる方向性を考えると、今後2021年3月以来の円買いポジションとなる可能性は考えておいたほうがよさそうです。

*テクニカル

テクニカルには2021年のドル安値102.59と2022年ドル高値151.95との半値押し127.27を達成した(年初来安値127.22レベル)ことで、中期的なドルの安値を見たというのがテクニカルな観点です。ドルインデックスもユーロドルもほぼ同様の動きとなっていて当面はドル買い戻しの動きが出やすいということになります。

*結論

大きな流れを決めるのはファンダメンタルであり、1月日銀会合後の動きを見ると短期的にドルが買われている間にカウンターでドル売りで入ろうという動きも見られます。1月会合後のドル高値を抜けない限り、戻り売りがワークしそうです。既に昨夜は129円台前半まで押してきていますが、戻りがあるようであれば、丁寧にドル売りという動きがよさそうです。



配信日:2023年1月26日