デイリーレポート(2022年12月21日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

主要国の金融政策決定会合でも日銀会合だけは現状維持、無風通過と思われていましたが、蓋を開けてみたらイールドカーブコントロール(YCC)の変動幅を0.25%から0.5%へと拡大するという実質的な引き締めへの転換。この発表を受けて金利急上昇、株価急落、円急騰の動きとなりました。

債券市場での日銀購入枠拡大で更なる金利の上昇は抑えられそうですが、これまで無い買い金利差拡大による円一人負け状態だった為替市場ではクリスマスが近づき流動性も低下する中で一時130.56レベルまで円高が進み、東京前場高値からは7円近い動きを見ることとなっています。

今回のYCCの変更は引き締めではないと黒田総裁は言うものの、YCCを導入した時には緩和策の一環として導入したわけですから、市場参加者は当然のように出口戦略を描き始めたと受け止めます。

政策金利自体の変更はすぐにはなさそうではあるものの、最近の黒田総裁後の日銀の政策点検の話から始まって、政府と日銀との共同声明見直しなど、日銀の反総裁派なのか財務省筋なのか、外部から黒田体制に対する明らかに批判的な報道が目立っていたことを考えると、意外とマイナス金利解除も近いかもしれませんし、場合によっては黒田日銀総裁の任期前辞任というコースもありそうな気がします。

いずれにしてもドル円は8月安値130.40レベルのわずか手前で下げ止まったものの、今後の動き次第では一気に130円の大台を割り込む展開にも注意が必要になってきました。

テクニカルにも年初来高値からのレジスタンスラインと並行ん引いたラインとで構成される下降チャンネルの中での動きにあると見られ、5月安値の126円台前半を視野に入れ始めたようにも思えます。今後は戻りがあれば着実に売りが上値を抑える展開がしばらくは続くと見られます。



配信日:2022年12月21日