デイリーレポート(2022年12月15日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円はFOMCを前に小動きが続いていましたが、欧州市場に入りポスト黒田体制で金融政策の検証と見直しが行われるのではとの記事に反応して一時134.51レベルまで円買いが見られました。その後FOMCまで上値の重たい展開での結果待ち。結果は予想通りの0.5%利上げであったものの、金利見通しでは2023年末の中央値が前回の4.625%から5.125%へと0.5%上昇した点はタカ派的と受け止められました。ドル円は135.99レベルまで上昇しましたが、引けにかけては135円台半ばへと押しました。

ユーロドルも東京市場では小動き、欧州市場に入りドル円が下げた動きについ図雨してユーロ買いとなったものの、FOMCを控えていることやユーロ円が下げたこともあって値幅は限定的なものとなりました。FOMCに向けてはドル円に遅れてのドル売りが入り、FOMC後は一時的にドル買い・ユーロ売りとなったものの日中安値は割り込まず、引けにかけては改めてユーロ買いとなり、本日のECB理事会待ちとなりました。

欧州時間に出た日銀の観測記事は、まだまだ先のことではあるものの、どこかで出口戦略を考えるであろうことを考えると、サプライズとは言えないでしょう。金利上昇による国としての国債発行コスト上昇や日銀が保有する国債の評価が下がることなど問題も多いので、慎重に進めなくてはならないテーマです。また、欧米の急速な引き締めで景気後退よる緩和が先に来る可能性のほうが高く、そうなると日銀は結局動かずということもあります。まだ先の話という押さえでよいでしょう。

金利見通しはインフレ懸念が強く2023年末でも5%超の水準へと上げてきましたが、この結果を考えるとCPI後よりもPPI後の市場参加者の反応に近いと思われますが、パウエル議長は、データ次第、抑制的な金利水準に近づきつつあると今後の状況によってはそこまでタカ派に動かないことへの含みも残したことで引けにかけては米金利は日中もっとも低かった水準へと押しました。

本日は欧州でスイス中銀、英中銀、ECBの金利発表が続きますので、予想レンジは示さないでおきます。



配信日:2022年12月15日