デイリーレポート(2022年11月11日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は米国CPIを控えて若干底堅い程度でNY市場入りとなりましたが、CPIが7.7%と予想の8.0%から下振れし、ピークから着実に低下している結果となりました。この結果を受け、米金利は急低下。10年債利回りは4.09%台から3.80%台へと低下、FF先物は12月時点での利上げ幅0.5%の織り込みが90%に上昇、来年のピーク金利も5.0〜5.25%だったものが4.75〜5.0%へと低下し、第4四半期には緩和に転じるという見方へと変化してきました。

ドル円はこの金利低下の動きに急速にドル買いポジションの投げが発生し、引け間際には140.19レベルと140円の大台目前まで水準を切り下げました。欧州市場では146.59レベルの高値をつけていたことを考えると6円40銭もの円急騰劇を演じたこととなり、まるで介入が出たかのような動きでした。引けにかけては141円近くに戻しています。

ユーロドルは東京時間は動意薄でしたが欧州市場ではCPI発表を前に今週ユーロを買っていた短期筋のポジション調整から一時0.9936レベルの安値をつけていました。そして、CPI後にはドルが急速に値を失ったことでユーロドルも1.0222レベルまで上伸後に高値圏で引けました。ドル円の円急騰でユーロ円も大きく下げ一時143.19レベルまで水準を下げました。

米国中間選挙の最終結果が来月の決選投票まで持ち越しとなったことで、改めて米国のインフレと金利に目が向かったところに、いきなりCPIの予想以上の低下を見たことで米金利市場は急低下、株式市場は交換して急上昇、為替市場はドル安で反応しました。ややサプライズだったことで昨日の反応は大きくブレましたが、米金利上昇ペースが鈍ってもまだ上がることは間違いありませんし、タカ派のクリーブランド連銀総裁などはCPIの結果でFRBがハト派になることに警戒感を示しています。

今週中は、金利低下の影響が残りそうですが、ある程度落ち着いてくると、為替市場では改めてドル買いの動きが出やすくなるのではないかという印象です。ただ、ここまでの動きで151円台が今年のドル高値となった可能性は高まったと見られます。

本日はある程度の振れを想定しておく必要があるでしょうから、以下のレンジを考えておきます。
 ドル円  140.00〜142.50
 ユーロ  1.0130〜1.0250
 ユーロ円 143.20〜144.80



配信日:2022年11月11日