デイリーレポート(2022年10月25日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円は金曜の介入にも関わらず朝方に149.71レベルと150円目前まで上昇していましたが、再び介入が入ったと見られ145.48レベルの安値をつけました。しかし、介入が出たところではドル買いという動きから仲値過ぎには149円台乗せ。その後欧州市場でも一時的な下げは見られたものの介入かどうかはわからず、こちらもすぐに買い戻された後は149円近い水準で横方向のもみあいのまま引けました。

ユーロドルはドル高地合いの中でユーロの上値が重たいスタートを切りましたが、それ以上に年初来高値からのレジスタンスラインが0.99近辺に位置し、これまで同様に反落するのではないかという、テクニカルな売りも出ていたようです。欧州市場ではドイツのPMI速報値が予想よりも弱く一段安となりましたが、0.9807レベルを安値に反転、海外市場ではじり高となり東京朝方の水準に戻して引けました。

ドル円は介入が出ればカウンターでドル買いという動きになっていますが、先週金曜の介入規模が約360億ドルとこれまで最大の200億ドル規模(前回と1998年の介入がドル建てでは同規模)を大幅に上回る金額になった模様です。9月に米国債を売却した金額は使い切った計算です。これだけの介入をしてもあっという間に元に戻るという市場規模も驚きではありますが、それだけ長期的なドル高は変わらないと考える向きが多いことでもあります。

また、円安の悪影響を短期で変えることは無理でもドル買いが出遅れている輸入などの実需筋に向けて、適宜介入をすることで介入をしているうちにカバーしておけというメッセージであるとも思えます。そうであるとすると、輸入筋の出遅れているドル買い実需が一巡した後は介入が一休みとなる可能性があります。ちなみに日本の今年の輸入総額は88兆円程度と月額では約7.3兆円と、最近の介入で1ヶ月分程度は供給できたというところです。

ユーロドルはドル円に比べて動きも鈍いのですが、全体的なドル高の動きの中で前述の通りテクニカルに売りやすい水準にあり、介入で振れない分ユーロ売りがやりやすいというイメージです。本日は以下のレンジを考えておきます。
 ドル円  147.80〜149.80
 ユーロ  0.9830〜0.9910
 ユーロ円 146.30〜147.80



配信日:2022年10月25日