デイリーレポート(2022年9月27日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

週明けのドル円はポンド急落に引っ張られてのドル買いが先行しましたが、介入が出ないとこれまでの金利差拡大による円売りには変化は無いとの見方からじり高の展開が続きました。NY後場には144.79レベルまで値を戻し高値圏での引けとなりました。

ユートドルは週末のイタリア総選挙で極右が第1党となり反EUの姿勢を強めるとの懸念に売りが先行していたところに、ポンドドルが500pips近い急落で史上最安値を更新した動きが重なり0.9553レベルの安値をつけました。その後は急速に値を戻し0.96台半ばを中心としたもみあいとなり、引けにかけては小緩んで引けています。

ドル円は先週の介入が3兆円規模の介入であったと指摘されていますが、そうであるとすると1998年4月の2.6兆円を上回り過去最大の介入となります。初回介入は金額以上にアナウンスメント効果が大きいため、1兆円程度ではないかと考えていましたが、30日の公表を待つ必要があるとは言え、想定以上の金額です。

こうなると、むやみに介入は出来ないという状況になり、ドルの買い手は元気を取り戻すこととなるでしょう。おそらく145円は再度介入が出るとは思いますが、介入自体が流れに逆らう行動のため、後から振り返ると一時的な効果にとどまります。最終的には日銀の緩和終了を待たざるを得ないでしょう。

ユーロはこれまでの悪材料にイタリア政局が加わり、さらには史上最安値更新のポンドも側面からユーロ安材料となり、いいところがありません。英中銀の声明でも緊急利上げやポンド防衛の話は出ず、ポンドも戻り売りが出やすいとなるとユーロも簡単には戻せません。

ドル以外全ての通貨が弱いということになり、ここから更なる通貨安が進む場合には、米国以外のG7による介入の可能性も否定できない気がします。四半期末を控えまだまだ荒っぽい展開が続きそうです。
本日は以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  143.50〜144.75
 ユーロ  0.9550〜0.9675
 ユーロ円 138.10〜139.50



配信日:2022年9月27日