デイリーレポート(2022年6月17日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は東京前場はドル買いが先行し134.68レベルの高値をつけましたが、戻り売りを考える向きも多く欧州市場序盤に日経先物の売りが強まると従来型リスクオフの動きから円買いが強まりました。前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら132円台前半へ。その後NY市場昼前までは132円台後半でのもみあいが続きましたが、日銀会合で何らかの政策修正が入るのではとの思惑から一時131.49レベルまで下げ幅を広げた後132円台に乗せて引けました。

ユーロドルはスイス中銀と英中銀の利上げが確実視される中で1.04台半ばを緩やかに下げていましたが、1.03台後半で底固めをした後はドル円同様にドル大幅安となり、ユーロドルは1.0601レベルまで上伸後に1.05台半ばに押して引けました。

本日の日銀会合では現状維持で大規模緩和継続が既定路線のはずですが、今週に入り10年債利回りが一時0.25%を超えたり、国債先物市場で円債価格が急落(利回りが上昇)したりと、日本の長期金利にも上昇圧力が強まっています。日本のCPIも前回は2.5%へと上昇し、来週24日に発表されるCPIが注目される中で、日銀はイールドカーブコントロールで金利上昇を抑え込むことが出来るのかが懸念されています。

特に先物市場には日銀が直接関与できないため、現物の受け渡し適格銘柄(残存7〜11年の10年国債)の中でチーペスト(最割安銘柄)での金利上昇を抑えるオペレーションができる程度です。イールドカーブコントロールによって現物市場には歪みも出ていますので、今後そう遠くない段階で±0.25%の幅を広げてくる可能性は高そうです。今日の総裁会見ではこの長期金利上昇圧力と円安問題の質問が出てくることは間違いありませんので、どのように回答するのか注目されます。

ユーロドルは主要中銀の一連の金融政策イベントが終わり、本来的には蒾金利が最も高いということからドル買い(ユーロ売り)が進みやすいのですが、昨日は急速にポジション調整で買い戻しが入りました。ただ、ここからとなるとやはり戻り売りを考える参加者が増えてくると見られます。

本日は黒田日銀総裁会見が終わるまでは動きにくそうではあるものの。連日かなり振れが大きくなっていますので週末前のポジション調整も併せて注意が必要です。ここでは日銀会合でサプライズ(政策の調整)が入らない前提で以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  132.30〜133.50
 ユーロ  1.0480〜1.0580
 ユーロ円 139.30〜140.50



配信日:2022年6月17日