デイリーレポート(2022年6月16日配信)

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WRITER 山中康司
代表理事
金融リテラシー協会は、日本の金融立国化に貢献し、日本の新たな未来を創造するために設立された協会です。 詐欺にあわない知識、お金を活かすための知識、ふたつの知識の普及・啓発を行い、国民生活の向上と日本経済の発展に貢献し、金融経済教育の分...

ドル円は前日NYの引け直後に135.59レベルと高値を更新したものの、蒾金利が低下に転じたことも重なってFOMCを前に短期筋の利食いが目立つ流れが続きました。その後も上値は重く134.35レベルでFOMC待ち。FOMCでは事前のリーク通りに0.75%の利上げと1994年以来の大幅利上げとなり、直後にはドル買いの動きから134.95レベルまで上昇。しかし、議長会見において0.75%は一般的ではなく次回は0.5か0.75と発言したこともあって、改めてドル売りの動きから133.50レベルの安値をつけた後で133.80レベルに戻して引けました。

ユーロドルは東京後場に臨時ECB理事会開催のニュースを受け一時的にユーロ買いの動きとなりましたが、PEPP関連の協議とわかり反落。最近のイタリア国債利回りの急上昇などの動きに対応するため、再投資に柔軟な対応を行うという声明が出されました。その後FOMCに向けてはユーロ売りの動きとなって1.0400レベルで結果待ち。FOMC直後には1.0359レベルの安値をつけましたが、引けにかけては1.0470レベルまで戻し、1.0440レベルで引けました。

FOMCは0.75%の利上げとなり、ブラックアウト期間中にWSJのフェドウォッチャーをうまく使ってリークしショックを和らげたあたりはお見事でした。問題はパウエルFRB議長は可能ならば7月は0.5%にしたいといった思惑が見える一方で、金利見通しでは2022年末時点で3.375%と前回の1.875%から大幅上昇。またピークは2023年の3.75%という点も今後の金利を考える上で参考になりそうです。

他のFRB関係者も市場参加者もパウエル議長よりもタカ派的な見方をしてくることは確実しされますので、米国と他国との金利差拡大はこれまで通りですし、ECBが利上げの一方で債券の再投資に動くことでこれについてはECBは一昨日時点よりはハト派的ととられ、為替市場は後から振り返るとドル買いという動きが今後も続きやすいと言えそうです。

株式市場はこれまで大幅安だったこともあり、来月0.5%の可能性を残した点で買い戻しに動いたと見られますが、まだインフレが収まる保証もなく7月0.75%という見通しが改めて増えてくると売られるという流れでしょうから、これで底を打ったとは考えず短期的な調整段階と見ておく方が良いでしょう。

本日はイベント通過後のドル買い戻しが入りやすいと見ていますので、以下のレンジを見ておきます。
 ドル円  133.75〜134.75
 ユーロ  1.0385〜1.0485
 ユーロ円 139.70〜140.70



配信日:2022年6月16日